◆明治安田J1リーグ ▽第37節 新潟1―3柏(30日・デンカS) 10試合が行われ、2位の柏が新潟に3―1で快勝し、逆…

◆明治安田J1リーグ ▽第37節 新潟1―3柏(30日・デンカS)

 10試合が行われ、2位の柏が新潟に3―1で快勝し、逆転優勝への望みをつないだ。FW細谷真大(24)がキャリア初のハットトリックを決めて、1―0で東京Vに勝利した首位・鹿島と勝ち点1差をキープ。鹿島は途中出場のMF松村優太(24)のゴールを守り抜き、1位の座を明け渡さなかった。優勝争いは6日の最終節までもつれ込むことになり、11年以来2度目の頂点を目指す柏は史上5例目となる最終節での逆転V、鹿島は9年ぶり9度目制覇を狙う。最終節で鹿島は横浜M、柏は町田をホームに迎える。

 リーグ優勝を争う大一番で柏のエースが大仕事をやってのけた。細谷は後半10分に3点目を決めると、今季の自身の主戦場だったベンチに駆け寄り、祝福の嵐を受けた。ハットトリックはキャリア初。クラブとしても、20年7月に怪物FWオルンガが決めて以来の快挙となり、「プレッシャーのかかる中で得点が取れて良かった」とうなずいた。

 3週間の中断期間でストライカーとしての本能を高めた。11月8日の前節から国際Aマッチデーで公式戦がない間、チーム内の紅白戦でもハットトリックを記録。ロドリゲス監督(51)から状態の良さを評価され、6試合ぶりに先発で起用されると、前半20分に相手選手3人に囲まれる中、うまく反転して先制点を獲得。貫禄を漂わせ、左胸のエンブレムを誇らしげにポンポンとたたいた。

 最初のゴールは細谷劇場の序章に過ぎなかった。同45分には倒れながらもネットを揺らす“らしさ”全開の追加点を決め、最後はMF中川のパスを冷静に流しこんだ。3点目をアシストした中川は「味方がフリーだろうと自分でシュートまで持っていく意識を、この3週間(細谷から)より一層感じた」。大車輪の活躍だが、本人はいたって冷静だ。細谷は「ホッとした気持ち。大喜びではなかった」と振り返った。

 今季は憧れのFW工藤壮人さん(故人)も過去につけた柏のエース番号「9」を背負い、2ケタ得点を掲げた。しかし、戦術の兼ね合いでFW垣田が先発する試合が増え、今季出場した35戦のうち23戦が途中出場。苦戦する期間もあったが、指揮官と対話を重ね、存在感を取り戻した。得点数はチームトップで、この試合で2ケタにも乗せた。「(最終節は)負けたら終わり。自分たちのプレーをして優勝を決めたい」。8月下旬、リーグ優勝に必要なものに「点を決めるFW」と自身に矢印を向けたエースが、14年ぶりの2度目の栄冠へ導く。(浅岡 諒祐)

 ◆最終節での逆転優勝 過去は4例

 最終節で逆転優勝を果たしたのは、1ステージ制では過去4例。

 ▽05年=G大阪(西野朗監督) 勝ち点1差で追ったC大阪を抜き、クラブ初の優勝を獲得。

 ▽07年=鹿島(オリヴェイラ監督) 終盤の破竹9連勝で、最大勝ち点10差あった浦和をまくった。

 ▽13年=広島(森保一監督) 横浜Mを最後に抜く。

 ▽17年=川崎(鬼木監督) 鹿島を追い抜き、最終節で初めて首位に浮上。クラブ初タイトルつかんだ。