<明治安田J2:仙台0-1いわき>◇29日◇最終節◇ユアスタ満員のユアスタで喜びを分かち合うことはできなかった。プレーオ…

<明治安田J2:仙台0-1いわき>◇29日◇最終節◇ユアスタ

満員のユアスタで喜びを分かち合うことはできなかった。プレーオフ(PO)圏内6位で最終戦を迎えたJ2ベガルタ仙台が、いわきFCに0-1で敗れ、7位に転落し2年連続のPO進出を逃した。森山佳郎監督(58)は悔しさをにじませながらも、サポーターへの感謝を言葉にした。勝利したいわきは9位で、藤枝MYFCに勝ったモンテディオ山形は10位でシーズンを終えた。

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まさかの幕切れだった。磐田が勝利し、昇格プレーオフ進出が手からこぼれ落ちた。敗戦後の静まりかえったスタジアムで、森山佳郎監督(58)はサポーターに語りかけた。「昨年のプレーオフ(決勝で敗戦)以上に屈辱で、当分立ちあがることが出来ませんが、もし来年チャンスをもらえてこの選手たちと、この強烈な屈辱、悔しさをエネルギーに変えて来年また命がけで戦いっていきたい。どうか…見捨てずに戦ってください」。絞り出した思いを力強く口にした。

「最も手ごわい相手と言っても過言ではない」と攻守ともに警戒していたいわきとの大一番を前に、指揮官は「俺らも負けてねぇぞ」と、成長を物語るスタッツを選手たちに共有し奮起させた。少ないチャンスをものにする展開を作りたかった。強度の高いプレスを交わし、相手の2倍のシュートを放つも、ネットを揺らせなかった。後半37分に失った1点を取り返せなかった。指揮官は「今シーズンを象徴するような試合になってしまった」と肩を落とした。今季チームをけん引したキャプテン郷家友太(26)もまさかの幕切れに涙。「悔しさはもちろんですけど、恩返しが出来なかった申し訳なさがあります…」と唇をかんだ。

5年ぶりのJ1昇格まであと1歩が遠かった。だが、このままでは終われない。ベガルタ・ゴールドにスタンドを染め上げたサポーターが、試合前にはブルーとゴールドの幕を掲げ、最後の最後まで声援を送り続けた。「入場するときの景色には本当に涙が出ました。本当に苦しい時も強烈なバックアップで前に押し進めてくれた。J1の優勝争いをしているようなサポーターの皆さんに早く追いついていかなきゃいけない」と森山監督。再び、いるべき場所に帰る日まで、熱く戦い続ける。【高橋香奈】