<国内女子ゴルフツアー:JLPGAツアー選手権リコー杯>◇第3日◇29日◇宮崎CC(6543ヤード、パー72)◇賞金総額…

<国内女子ゴルフツアー:JLPGAツアー選手権リコー杯>◇第3日◇29日◇宮崎CC(6543ヤード、パー72)◇賞金総額1億2000万円(優勝3000万円)

9月のソニー日本女子プロ選手権で初優勝した金沢志奈(30=クレスコ)が、ともに国内メジャー制覇で飾る、今季としても、通算としても2勝目に王手をかけた。首位と4打差の8位から出て1イーグル、3バーディー、1ボギーの68と4つ伸ばし、通算6アンダー、210。首位で並んだ鈴木愛と、2人1組のツーサムで、最終日最終組を回ることが決まった。

2番でボギーを先行させたが、8番パー3で「やっと、いいショットを打てた」と、ティーショットを3メートルにつけて取り返した。すると続く9番パー5でスーパーショットが飛び出した。残り80ヤードからの第3打を、56度のウエッジで振り抜くと、1メートル足らず手前で着弾したボールが、そのままカップに吸い込まれた。

「フルショットでピッタリの距離だったので『いい距離だな』と思っていました」と、迷いなく振り切った。カップに入るのは見えていなかったが、2オンに成功し、先にグリーンに着いていた同組の阿部未悠が、興奮気味に手をたたいて喜び、知らせてくれた。「ファンの方たちが喜んでくれていたので、それに応えようと思って」と。金沢もガッツポーズをつくって喜びを爆発させた。会心のイーグルで、スタート時よりも2つ伸ばして折り返し、一気に優勝争いの仲間入りを果たした。

後半はボギーなしで2つのバーディーを奪った。最後のバーディーとなった17番パー4は、残り67ヤードから、再び56度のウエッジで、今度はわずか10センチにピタリとつける再びのスーパーショット。第1ラウンドは2オーバーで27位と出遅れていたが「悪くはないけど、結果につながっていなかった。パッティングの、ちょっと距離とラインが合わない感じだった」と、少しずつかみ合っていなかった。キャディーバッグに入れたクラブのうち「ちょうど間の距離」と、フルスイングした際の距離にすると、こっちだと短いけど、こっちだと長い、といった、もどかしい展開が続いていた。

それが前日28日の第2ラウンドの9番からかみ合ってきたという。前日はスタートから8ホール連続でパーを並べていたが、9番で最初のバーディーを奪うと、そこから3連続で伸ばした。最終的に4つ伸ばし、この日の勢いにつなげた。

初優勝が国内メジャーで、2勝目も国内メジャーの可能性は十分だ。「今年、2勝したい思いがあった。あとはこの試合しかない。優勝を目指して、チャンスだと思って集中したい」。綱渡りのように、ギリギリの年間順位でシードを守ってきたことが多かったが、年間2勝以上の国内メジャー制覇で、一気に5年間のシードを得られる。7月に30歳を迎え、徐々に疲労も抜けにくくなる年代に入った。無理なく、体づくりに充てたり、休養に充てたりできる長期シードは魅力的。報道陣から「明日(最終日)は?」と、意気込みを問われると「どうしようかな」と言って大笑い。続けて「思い通りにいけばいいですね。1打1打、集中してプレーできたら」と、笑顔のまま語った。自然体で、最高の1年間を締めくくるつもりだ。【高田文太】