<プロボクシング>◇24日◇トヨタアリーナ東京21年ボクシング世界選手権で日本人初の金メダルを獲得したWBO世界バンタム…
<プロボクシング>◇24日◇トヨタアリーナ東京
21年ボクシング世界選手権で日本人初の金メダルを獲得したWBO世界バンタム級14位坪井智也(29=帝拳)が元世界王者を撃破した。 元WBC世界スーパーフライ級王者の現WBC世界同級1位カルロス・クアドラス(37=メキシコ)との同級10回戦に臨み、8回2分59秒、TKO勝ち。左フック、ワンツー、ボディー攻撃など連打で主導権を握り、最後はレフェリーストップで仕留めた。日本男子最速記録となる次戦4戦目の世界王座獲得に向け、大きなはずみをつけた。
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3戦目の坪井が51戦目の元世界王者を翻弄(ほんろう)した。ワンツー、5~6連打、左フックを何度もねじ込み、主導権を握った。7回までジャッジ3人がフルマークという快勝劇。坪井は「素直にうれしく思う。流れの中で(TKO撃破)できて良かった」と安堵(あんど)の表情を浮かべた。
今年6月、バン・タオ・トラン(ベトナム)とのWBOアジア・パシフィック・バンタム級王座決定戦以来、約5カ月ぶりのリングだった。過去6度の世界王座防衛、2度の世界王座獲得の実績を持つクアドラスに対し、左ジャブ、左フック、ボディー攻撃と多彩に攻め、8回には一気にラッシュ。最後は右ストレートから左フックをねじ込み、試合が止まった。「予想より僕の戦術がはまり勝敗がついた。僕の得意の連打でフィニッシュに持っていけた」と手応えを示した。
これでWBCでの上位ランキング入りは確実。日本協会の内規となるアジア王座も獲得しており、国内での世界挑戦も可能だ。来年の4戦目で世界挑戦できるチャンスは広がった。4戦目での世界王座獲得となれば日本男子最速となる。
「来年中に1つ目(の世界戦)をできれば。来年中に残りのベルトも全部取れるように頑張りたいと思う」と決意。世界王座獲得だけでなく、4団体王座統一まで目標に掲げた。
リング禍で8月8日、日大の後輩となる神足茂利さんが死去。10月24日には恩師の前日大ボクシング部監督・梅下新介さんが他界した。坪井は「今年は人生を変えてくれた梅下監督、僕が1番、かわいがっていた神足が亡くなった。彼らの人生を背負ってなんて簡単なことは言わないが、自分の人生を楽しまないと2人に面目が立たない。全力で人生を楽しもうと思う」と強い決意を新たにした。【藤中栄二】
◆坪井智也(つぼい・ともや)1996年(平8)3月25日、静岡・浜松市生まれ。小学1年から6年間、空手を学ぶ。同小6年時に同市のリードジムで競技を開始。浜松工から日大に進学し、全日本選手権でライトフライ級4連覇。21年世界選手権バンタム級で金メダルを獲得。24年末まで自衛隊に所属。アマ戦績は106勝(10KO・RSC)25敗。25年1月にプロ転向表明し。25年3月、2回TKO勝ちでプロデビュー。同年6月にはプロ2戦目でWBOアジア・パシフィック・バンタム級王座を獲得。既婚。身長160センチの右ボクサーファイター。