◆大相撲 ▽九州場所千秋楽(23日、福岡国際センター) 新関脇・安青錦が初優勝を果たした。本割で大関・琴桜を内無双で破る…

◆大相撲 ▽九州場所千秋楽(23日、福岡国際センター)

 新関脇・安青錦が初優勝を果たした。本割で大関・琴桜を内無双で破ると、横綱・大の里の休場による不戦勝で12勝3敗で並んだ横綱・豊昇龍との優勝決定戦を送り投げで制した。

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 鋼の肉体が安青錦を大関に引き上げた。本割では琴桜に覆い被されても、左手で琴桜の右足を払って内無双を決めた。苦し紛れではない。互いに攻め合っての必殺技だった。決定戦は豊昇龍の突っ張りにも上体が起きなかった。攻め手を失った豊昇龍の後ろに回っての送り投げ。上体が起きなかったことが勝因。強いとしか言いようがない。

 私の目には安青錦が千代の富士さんにダブって見える。千代の富士さんは1981年の春場所で大関に昇進、わずか3場所で横綱に上り詰めた。体の強さと柔らかい体。安定した成績。安青錦には“千代の富士ロード”を目指してほしい。相撲に対する真摯(しんし)な態度。師匠の安治川親方も厳しい人だから、大関に上がっても決して慢心することはないだろう。課題は大の里と義ノ富士の一番での馬力負け。馬力がつけば鬼に金棒といえる。

 安青錦に4連敗の豊昇龍はショックだろう。私は76年の名古屋場所で千代の富士さんと初対戦してから7連勝した。それから千代の富士さんは毎日のように佐渡ケ嶽部屋に来て私を指名、血ヘドの出る稽古を繰り返した。その後の成績は千代の富士さんの22勝1敗。豊昇龍も安青錦との稽古で流れた汗を体に染みこませろ。(元大関・琴風、スポーツ報知評論家)