無敗の格闘家でプロボクシングWBC世界バンタム級1位の那須川天心(27=帝拳)が“金髪”で戦闘モード”に突入した。23日…

無敗の格闘家でプロボクシングWBC世界バンタム級1位の那須川天心(27=帝拳)が“金髪”で戦闘モード”に突入した。23日、都内での計量に髪を金色に染めて登場。同級王座決定戦(24日、トヨタアリーナ東京)で対戦する同級2位の井上拓真(29=大橋)に口答で“万全の仕上がり”を直接アピールした。勝者にWBCが特別に用意した“サムライベルト”も目に焼き付け「僕のためのベルト」と闘志をかき立てた。井上は4団体統一スーパーバンタム級王者の兄尚弥(32)から調整への太鼓判と熱いエールを受けて、天心撃破を誓った。

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彫刻のように刻まれた上半身の筋肉が、井上の仕上がりの良さを示した。約28秒間、視線を外さずに那須川とフェースオフ(にらみ合い)し、最後に握手を交わして敬意を表した。減量も順調に進んだとし「高いモチベーションだと体重もうまく減る。すべてにおいてめちゃくちゃ良い練習ができた。今回はすべてが違う」と強調した。昨年10月、堤聖也(角海老宝石)に判定負けを喫して王座陥落して以来、1年1カ月ぶりの再起戦でもある。「前回負けたイメージで見ていると思うので、あっと言わせるような試合をしたい」と自信をのぞかせた。

10月上旬、神奈川・小田原市での走り込み合宿を皮切りにスパーリング、ジムワークと常に4団体統一スーパーバンタム級王者の兄尚弥(32)が一緒に練習し、見守った。厳しい指導で知られる父真吾トレーナー(54)との練習もフルメニューを消化した弟の姿に、尚弥は「練習量も練習に対する気合、考え方というものがすごく変わったと見えた。これが試合にしっかりと表れるもの。良い形でトレーニングを積んだことが必ず試合で出る」と熱いエールを送った。

そんな兄の猛ゲキを胸に秘めた井上は「ナオ(尚弥)も仕上がりをすごく評価してくれた。あとは明日の試合当日に見せる」と集中力を研ぎ澄ませた。日本人対決の世界戦で初めて懸けられるWBC特別ベルト「サムライベルト」を見ると高揚感も漂わせた。井上は「やっぱり見ると欲しくなった。あとは試合を楽しむだけ」と最高潮のボルテージだった。【藤中栄二】