NHKの大相撲中継は、千秋楽の放送の最後に本場所のダイジェスト映像が流れる。15日間の様子が1分30秒に凝縮され、格好い…
NHKの大相撲中継は、千秋楽の放送の最後に本場所のダイジェスト映像が流れる。15日間の様子が1分30秒に凝縮され、格好いい音楽とともに、相撲ファンの間では「THE千秋楽」として知られている。NHK広報局に、編集の裏側などについて聞いた。【取材・構成=佐々木一郎】
-THE千秋楽の作曲者は誰ですか
NHKが制作したオリジナル曲です。「大相撲中継エンディングテーマ」と呼んでいます。なお、千秋楽の最後に放送しているVTRは、大相撲中継では「千秋楽エンディング」と呼んでいます。
-「千秋楽エンディング」をこの曲とともに放送するようになったのはいつからですか
1995年(平成7年)9月の秋場所以降は、エンディングに「大相撲中継エンディングテーマ」を使っています。
-この映像を編集する上で、大切にしていること、意識していること、ご苦労されていることは、どういうところですか
「千秋楽エンディング」に限りませんが、ご覧いただいているみなさまに、喜んでいただけることを、一番に目指しています。
千秋楽の最後に流れるものですので、1分30秒の中に、その場所の話題、注目を集めたこと、場所を象徴する映像、取組を、可能な限り網羅して、お伝えする事を意識しています。
例えば、珍しい決まり手で決まった取組については、いろいろな角度の映像を使いながら、お見せします。また場所中引退した力士の取組や会見の映像などは、場所を振り返る要素として大事だと考えています。また、地方場所の場合は、可能な限り、ご当地を感じさせる映像を入れるようにしています。
もちろん、優勝争いは、場所の最も大きな話題ですので、VTRのストーリー全体としては、優勝力士の映像で締めるストーリーになるよう、制作しています。
苦労するところは、NHKは場所中、1日5時間×15日の75時間中継をお送りしているので、映像の素材が膨大な量になることです。
限られた時間に編集するため、本当は入れたいけれども、入れられない要素も出てきます。その取捨選択は、毎場所頭を悩ませるところです。
ご覧いただいた方からの反響で、「あれをまた見せてくれた」や「今場所あったねえこれ」といった感想をいただけたときは大変うれしいですし、「あれが入っていなかった」というお声をいただくと悔しく思います。
ご覧いただいている方の印象に残る一番や、シーンが入っているか、楽しみにご覧いただけると幸いです。
-この映像の編集には何人くらいがどのくらいの時間をかけてやるのでしょうか
編集は担当のディレクターが、1名で制作しています。担当者は8日目が過ぎたあたりから、映像の素材集め、内容の構成の検討を始めます。編集に本格的にとりかかるのは、優勝争いの行方が見えた、13日目、14日目以降です。試写や打ち合わせを繰り返しながらVTRを仕上げています。
-千秋楽の映像をすぐに入れているスピード感に驚きます。どうやったらあの短時間で編集作業ができるのでしょうか
NHKでは、一般的なスポーツ中継でも、当日の映像、結果を「ハイライト」として放送することを日常的に行っています。大相撲については、ある程度事前に制作している部分もありますが、千秋楽の優勝争いの結果次第で、内容、構成が大きく変わる場合もあります。
ご存じの通り、千秋楽の優勝決定の一番や、表彰式で優勝力士が賜杯を手にするところも入れるために、放送を出す直前まで、編集作業をして送出しています。出来上がりが、放送5分前を切っていた、ということもあります。私たちの「制作の裏側」に関心を寄せていただき、ありがとうございます。引き続き、みなさまに喜んでいただけるよう制作していければと思います。
-この映像の反響、評判などありましたら教えてください
過去、千秋楽に優勝決定戦となった時に、放送時間が足りず、VTRを出せなかった場所がありました。その際には、視聴者の方から、なぜ今場所は「千秋楽エンディング」がないのかというお問い合わせを複数いただきました。
-ありがとうございました!