◆陸上 八王子ロングディスタンス(22日、東京・八王子市上柚木公園陸上競技場) 1万メートルの最終A組(ターゲットタイム…

◆陸上 八王子ロングディスタンス(22日、東京・八王子市上柚木公園陸上競技場)

 1万メートルの最終A組(ターゲットタイムは27分10秒)で9月の東京世界陸上代表の鈴木芽吹(トヨタ自動車)が日本新記録の27分5秒92をマークして日本勢トップの6位だった。従来の記録は2023年12月に塩尻和也(富士通)が出した27分9秒80。3秒88上回る力走に「しっかり妥協なく準備してきた。準備してきたことを出し切れれば、いけるんじゃないかと思っていた」とすがすがしい表情で振り返った。

 気温9度でほぼ無風。記録を出すには絶好のコンディションだった。鈴木は序盤から積極的に先頭集団の前方でレースを進め、残り約1000メートルは「自分が行くしか無い」と一時、トップに立って集団を引っ張るなど激走。日本新記録をかみしめるように、両手を広げてフィニッシュした。レース後は指導する大八木弘明総監督も満足げで「日本新。よく頑張った」と肩をたたいた。

 9月、東京世界陸上を初めて経験した。海外選手に果敢に食らいついたが、結果は20位で「本当に自分は、通用しないんだなと思った」と改めて世界との差を実感。10月は母校である長野・佐久長聖高の練習に顔を出し「ここで頑張っていた。そういう気持ちがなくなっていたかもしれない」と初心に戻った。

 普段の練習でも「量をやる時期、質をやる時期と分けて計画を立てた」と細かい戦略を練り、10月末から約3週間の米国・アルバカーキ合宿も着実に消化。指導する大八木弘明総監督も「27分一桁台は最低でも行こうとやっていた。うまく、順調にやってきていた」と日本新が出せるレベルの練習を確実に積んだ。

 それでも、「世界の基準は26分台」と鈴木はまだまだ記録を狙っていくつもりだ。「優勝したい」と意気込む来年1月1日のニューイヤー駅伝。その後も「トラックを極めていきたい」とさらに足を磨いていく。