8月に81歳で死去した元日本代表の釜本邦茂さんの「お別れの会」が22日、都内で開催された。元女子日本代表なでしこジャパン…

8月に81歳で死去した元日本代表の釜本邦茂さんの「お別れの会」が22日、都内で開催された。

元女子日本代表なでしこジャパンの澤穂希さん(47)が釜本さんを「本当に偉大な大先輩であり、憧れる先輩でした」と悼んだ。

初めて釜本さんに会ったのは40年前。「私も(釜本さんの)サッカー教室に参加した1人で、その時、女の子がサッカーをやっているのは本当に珍しい時代だったので、『君、本当に女の子かい?』と最初に交わした言葉がその言葉」と懐かしんだ。

その後、なでしこジャパンの団長として釜本さんがメキシコ遠征に帯同し、「アステカのスタジアムで、『ぼくはこっちに何点、こっちに何点、僕はここで活躍したんだよ』という話をしてくださって」。68年のメキシコ五輪で、自身が得点王に輝いて銅メダル獲得に導いた地での思い出を語ってくれたという。

得点記録における逸話も明かした。釜本さんの国際Aマッチ75得点は現在も男子の歴代最多記録。澤さんは女子の最多となる83ゴールをマークしている。

「ワールドカップ(W杯ドイツ大会)で2011年に行く前にまた、釜本さんとまたお会いして、ちょうどその時、釜本さんの得点75点という記録と、私の、74点だったかな? (新)記録になるというところで、冗談でまず、『お前この記録分かっているんだろうな?』っていうのを(言われた)。でもそれは釜本さんにとっては私の背中を押してくれる励ましの言葉であって。やっぱり前への選手は得点にこだわれ、得点を必ず取ってこいと背中を押してエールをくれた言葉だと思っております」

得点記録を更新した際には、「記録は抜かれるものだ。おめでとう、よかったな」と素直に褒められた。「あの負けず嫌いの釜本さんがそういうお言葉をくださったのはうれしかったのとともに、私ももっともっと得点という記録を伸ばしていきたいなと思いました」。

2011年のW杯優勝後には、釜本さんの自宅に招待されて、祝勝会を開いてもらった。「ハモをごちそうになって、今までハモを食べたことがなかったんですね。そういう食べ物のことも釜本さんに教えてもらった記憶があります」と笑った。

釜本さんが世界に日本サッカー界の存在を知らしめた、その功績は計り知れない。澤さんは女子サッカーのレジェンド的な立場になったからこそ、釜本さんの偉大さが分かる。「釜本さんが日本のサッカー界をけん引してくださったおかげで今の日本サッカー界があると言っても過言ではないと思いますし、私も釜本さんの女子版として、釜本さんには追いつかないですけど、そのような存在でいたいです」と話した。【佐藤成】