<大相撲九州場所>◇14日目◇22日◇福岡国際センター大関経験者で西十両4枚目の朝乃山(31=高砂)が、十両優勝争いトッ…
<大相撲九州場所>◇14日目◇22日◇福岡国際センター
大関経験者で西十両4枚目の朝乃山(31=高砂)が、十両優勝争いトップの藤凌駕(22=藤島)を破って5連勝とし、逆転優勝の可能性を残した。ともに幕下だった7月の名古屋場所に次ぐ、2場所ぶり2度目の顔合わせ。取組前の時点で藤凌駕は1敗、朝乃山は3敗で、負ければ相手の優勝が決まる状況で、初顔合わせに続いて白星を挙げた。朝乃山は11勝3敗で、2敗となった藤凌駕とは1差。千秋楽で藤凌駕が敗れ、朝乃山が勝てば、決定戦の末に逆転優勝する可能性がある。
立ち合いすぐに右をのぞかせると、さらに深くねじ込んだ。すくい投げを打った流れで、朝乃山は伸びていた上体を前傾姿勢にすると、左上手を引いて得意の形にした。あとは、じりじりと圧力をかけて盤石の寄り切り。「相手は押し相撲なので、力負けしないように、しっかりと立ち合いで踏み込んだ。ここまできたら自分自身との戦い。明日(千秋楽)は今年最後の一番。悔いのないよう、自分の相撲を取り切って終わりたい」と、力を込めて話した。
来場所の再入幕に向けても、大きな白星となった。前日13日目に10勝目を挙げて再入幕の権利は得た。ただ、今場所の十両上位は、朝乃山以外にも幕内昇進相当の成績を残す力士が続出しそうな気配だ。千秋楽に星を伸ばすと、藤星雲、琴栄峰、朝白龍、大青山、羽出山といった面々が幕内昇進のライバルとなる。
幕内から十両転落相当の成績の力士が少なければ、より番付上位が有利な中で、それを逆転するには1勝でも多く、さらには十両優勝の付加価値もほしいところだ。それだけに、前日の取組後も朝乃山は「まだまだ。さらに気を引き締めていきたい」と、2桁白星は通過点と強調していた。
2連敗発進とはいえ、そこから立て直しただけに、力は出し切ったとも感じていた。この日の取組後に「(幕内に)上がれなかったら、自分の力が足りなかったということ。出直すだけ。ただ、それで終わりじゃない」と、昇進を争うライバルたちの負けなど、全く望んでいない潔さがある。
もちろん、他力本願ではあるが、最後まで十両優勝を目指していく。取組後の時点では、千秋楽の割は決まっておらず、3敗の羽出山を含めた優勝決定戦の可能性もある。逆転優勝には、体力も求められるが「まずは自分の一番。それに勝つこと。『12(勝)』だと変わってくるし、しっかり勝ちたい」と、後先考えずに、全力で本割を勝ちにいく決意だ。勝負の千秋楽。一段と集中力が求められる土俵が待っている。