<大相撲九州場所>◇13日目◇21日◇福岡国際センター大一番を制した。横綱大の里(25=二所ノ関)が、関脇安青錦との2敗…

<大相撲九州場所>◇13日目◇21日◇福岡国際センター

大一番を制した。横綱大の里(25=二所ノ関)が、関脇安青錦との2敗対決を寄り切って11勝目。際どい勝負を制し、横綱豊昇龍と並んで優勝争いのトップを守った。14日目は大関琴桜戦に決まり、千秋楽は豊昇龍戦が組まれるのは確実。そのため両横綱の一方は最大3敗止まりとなり、事実上、優勝は両横綱と安青錦の3人に絞られた。混戦を抜け出し、大の里が2場所連続、九州初優勝を狙う。

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力で技を封じ込めた。生き残りをかけた2敗対決。大の里はもろ手突きの立ち合いから猛然と前に出た。右を差し、技巧派の安青錦に左上手を引かれ、投げの体勢に入られてもお構いなし。前のめりに倒れながら寄り切った。安青錦が宙を舞う間、大の里の左太ももと左腕が先についた形。それでも幕内後半の高田川審判長(元関脇安芸乃島)は「(物言いは)つけようがない。(安青錦が)飛んでいた。吹っ飛ばした、大の里が」と、安青錦は土俵外で着地する前に、すでに負けていたとの認識だった。

大の里も「体を寄せて前に出ていたので(勝った)自信は少しあった」と、振り返った。過去2度の対戦は、立ち合いの圧力で吹っ飛ばし、圧倒していた。今回は初めてまわしに手をかけられたが「対応できた。うまく走れた」と、3度目の対戦も技を繰り出させる前に、3秒2で圧倒した。

これまで優勝5度で、うち4度が東京場所だ。年3度ある地方場所の優勝は、大阪開催の今年春場所しかない。常々「地方場所が課題」と語り、番付発表日の会見でも今場所は「来年に向けて弾みをつけたい」と語った。10、11日目と「2回負けているので欲を出さず、この一番に集中した。吹っ切れて、いい相撲を取れた」と、状態上向きを実感。九州初優勝で最高の年越しにする。【高田文太】