<大相撲九州場所>◇13日目◇21日◇福岡国際センター大関経験者で西十両4枚目の朝乃山(31=高砂)が、来場所再入幕の権…

<大相撲九州場所>◇13日目◇21日◇福岡国際センター

大関経験者で西十両4枚目の朝乃山(31=高砂)が、来場所再入幕の権利を得る10勝目を挙げた。通算3度目の顔合わせとなった東十両11枚目の玉正鳳を寄り切って10勝3敗。立ち合いから突いて出てきた相手に、下からあてがって対応し、強烈な押しで吹っ飛ばした。面食らった相手は反転して向き直り、左へ、左へと回り込んで体勢を立て直そうとしたが、これを朝乃山は逃さなかった。素早い足の運びで追いかけ、つかまえて右を差すと危なげなく土俵外へと追いやった。

十両土俵の先頭を走る藤凌駕が1敗を守り、2差のままだが、十両優勝の可能性を残して残り2日間に臨むことになった。14日目には、その藤凌駕との割が組まれた。直接対決で勝てば1差に迫り、他力本願ながら優勝の可能性を残して千秋楽に臨むことになる。

玉正鳳には、大関から陥落後の幕下土俵の初顔合わせで敗れていたが、2度目の対戦となった先場所は勝っていた。今場所は、相手も11日目に勝ち越すなど好調。豊富な運動量に加え、好調で手も足もよく出る難敵に勝ちきった。「動き回る相手を見ながら、うまく対応できた。しっかり足を運ぶことができた。最後も体を密着させて寄りきることができた」と、納得の表情で振り返った。

前日20日、12日目の風賢央戦の途中に、相手の頭頂部が額に強打し、取組直後には腫れ上がる、たんこぶをつくった。アイシングを施しながら引き揚げるなど、前日取組後は「取組のすぐ後から、ズーンっていう痛みが出た」と話しており、この日の取組への影響も少なくなかった。ただ「目じゃなくて、よかった。見え方は問題ない。目の上でもカットしていたかもしれない」とも話しており、不幸中の幸いとも感じていた分、精神的にも前向きだった。その後は大きく腫れ上がることもなく、この日の取組後は「こんなことで(痛いなど)言っていられない」と、むしろ気力十分で臨んでいた。

再入幕の権利は得たが、幕内から十両転落相当の成績の力士が少なければ、再入幕できない可能性もある。より可能性を高めるには、1勝でも多く積み上げる必要がある。自身も「まだまだ。さらに気を引き締めていきたい」と、2桁白星は通過点と強調。残り2連勝で十両優勝すれば、幕内返り咲きは限りなく近づく。最後まで、手綱を緩めず戦い抜く決意だ。