カーリングのミラノ・コルティナ五輪世界最終予選(12月5日=日本時間同6日開幕、カナダ・ケロウナ)で、女子日本代表フォ…

 カーリングのミラノ・コルティナ五輪世界最終予選(12月5日=日本時間同6日開幕、カナダ・ケロウナ)で、女子日本代表フォルティウスが、残り2つの出場枠獲得に挑む。2022年の北京五輪日本代表候補決定戦はロコ・ソラーレとの一騎打ちで涙をのみ、敗退し、北海道銀行とのスポンサー契約が解消。ゼロからはい上がってきたチームが、悲願の夢舞台を目指す。

 悲願の五輪切符をつかみに行く。世界最終予選の出発が10日後に迫った18日、フォルティウスは札幌市内で会見を実施。学生時代から五輪を夢見て、今回で5度目の挑戦となるスキップの吉村紗也香は並々ならぬ覚悟をにじませた。

 「いよいよだなと、身が引き締まる思い。みんなで力を合わせて、残り2つの五輪枠を勝ち取って五輪につなげたい。必ずオリンピアンになって帰ってきます」

 ゼロからはい上がってきた。北海道銀行フォルティウスとして臨んだ22年北京五輪代表決定戦。のちに銀メダルを獲得するロコ・ソラーレとの一騎打ちに敗れ、五輪出場を逃した。同時にチーム結成当初からスポンサーだった北海道銀行との契約が解消。これまで施設や遠征費など恵まれた環境にあったものの、生活が一変した。

 半年以上も貯金を切り崩す生活が続き、練習場所も自分たちで探す毎日。時にはクラウドファンティングで海外遠征費を募ることもあった。メンバーのほとんどが「どん底」「精神的にきつかった」と当時を振り返るが、目標を諦めたことはない。「五輪に出たい」。その一心を原動力に活動を続けてきた。

 苦難を乗り越えたチームは、崖っぷちに強くなっていた。優勝以外なら五輪への道が途絶えていた2月の日本選手権では、21年大会以来4年ぶりの優勝。9月のミラノ・コルティナ五輪最終予選代表候補決定戦では初日に2連敗を喫し、またもや五輪消滅の危機に立たされたが、そこから2連勝と立て直し、プレーオフでロコ・ソラーレを、決勝でSC軽井沢クに勝って、代表の座をつかんだ。

 勝負の五輪世界最終予選は5日(日本時間6日)に開幕。初戦はアメリカと対戦する。直近では約2カ月の北米遠征を敢行し、試合会場でカナダの男子チームと実戦を行って氷の感触を確認した。国内大会に比べて約3倍の12シートが設置された特大会場については「声が響きにくい。声が届かなくても意思疎通できるジェスチャーが必要」(近江谷)などと対応策も考えてきた。

 再出発時、チームユニホームには数えるほどしか企業名がなかったものの、今では20社を超えるスポンサーがついている。「4年前にチームが新しくスタートして、今はたくさんの応援してくれる人がいたからこそ、カーリングができて、競技と向き合えている。感謝の気持ちを持ちながら、良いパフォーマンスを皆さんにお見せしたい」と吉村。女子日本代表は正式競技となった1998年長野五輪から7大会連続出場中で、バトンをつなぐ意味でも負けられない戦いだ。

 掲げる最大の目標は、日本史上初の五輪制覇。会見ではメンバー全員が「オリンピックで金メダルを取る」と口をそろえた。チーム名はラテン語で『より強く』の意。どん底からはい上がってきたフォルティウスが、世界最終予選を突破して夢舞台に進んでみせる。

 ◇フォルティウス 北海道札幌市を拠点に、2011年4月にチームが結成された。13年五輪世界最終予選を勝ち抜き、14年ソチ五輪に出場。日本選手権は15年、21年、25年大会を制した。チーム名はラテン語で「より強く」を意味する。11~21年は北海道銀行がスポンサーを務めた。ロゴは緑、青、白の3色を使用した四つ葉のクローバーがモチーフ。それぞれ豊かな木々、大いなる海、そして雪の北海道の大自然を表している。

 ◆カーリングのミラノ・コルティナ五輪への道 男子、女子、混合ダブルスの3種目が行われ、それぞれ10カ国が出場できる直近2大会の世界選手権の成績により、女子は開催国のイタリアを含めて8カ国(カナダ、スイス、韓国、スウェーデン、デンマーク、イギリス、中国)が決まっている。残り2枠は五輪最終予選(12月5日開幕、カナダ・ケロウナ)で争う。1次リーグは出場全8チームが総当たりで戦い、上位3チームによる決勝2試合の結果で決定する。男子日本代表はSC軽井沢ク、混合ダブルス日本代表は小穴桃里、青木豪組が出場する。