<大相撲九州場所>◇12日目◇20日◇福岡国際センター大関経験者で西十両4枚目の朝乃山(31=高砂)が、関取復帰後、2場…

<大相撲九州場所>◇12日目◇20日◇福岡国際センター

大関経験者で西十両4枚目の朝乃山(31=高砂)が、関取復帰後、2場所連続の2桁白星に王手をかける9勝目を挙げた。2度目の対戦となった、西十両8枚目の風賢央を破って3敗を守った。立ち合いで、頭から当たってきた相手を受け止めると、引きに乗じて前に出た。最後は右を差して得意の形になってから、正面に置いて危なげなく押し出した。1敗で十両優勝争いトップの藤凌駕とは2差のままだが、直接対決も残しているだけに、残る3日で逆転を目指す。

風賢央には先場所3日目の初顔合わせで苦しめられた。先場所は立ち合いから相手の突き、押しに防戦一方。最後は右足だけ俵に残し、土俵際ではたき込んだ。物言いがつく際どい勝負だったが、行司軍配通りに勝ち名乗りを受けた。先場所は、風賢央戦前日の2日目に初黒星を喫していた。負けていれば、悪い流れにのみ込まれていたかもしれないところで辛勝。そこから5連勝と好転した。この日の取組後も「先場所の相撲の印象が残っていた。相手をちゃんと、正面に置いて相撲を取ることを心がけた」と、難敵と受け止め、対策して臨んでいたことで、好内容の白星につなげた。今場所も、負けていれば十両優勝が極めて厳しい状況となるところで勝ちきり、逆転優勝への追い風にしたい白星となった。

相手を土俵下まで押し出した直後から、額に手を当てて顔をしかめた。胸で受け止めた立ち合い後、引いた相手を鋭い足の運びで追った際、相手の頭頂部がガンッと額にぶつかった。見る見るうちに腫れ上がり、支度部屋に戻って風呂から出ると、大量の氷でアイシングを施した。「土俵の上にいた時からズーンという痛みがあった。でも目じゃなくて、よかった。見え方は問題ない。目の上でもカットしていたかもしれない。ただ、たんこぶになっていて、かなり痛い」と、苦笑いを浮かべ、アイシングを施したまま会場を後にした。

目標とする来場所の再入幕は、今場所で2桁白星を挙げれば可能性が出てくる状況だ。それだけに前日11日目に勝ち越しても「目標はここじゃない」と、表情を引き締めていた。まずは10勝、より再入幕の可能性を高めるために11勝以上を目指し、残る3日へ気の緩みはない。十両優勝争いは1敗の藤凌駕を追うのが2差の朝乃山と大青山、羽出山の3人。「今年は、あと3日しか取れない。残り3日はつぶし合い。思い切っていきたい」と、再入幕を逆転での十両優勝で飾るつもりだ。【高田文太】