<大相撲九州場所>◇11日目◇19日◇福岡国際センター東前頭15枚目の錦富士(29=伊勢ケ浜)が、同12枚目の藤ノ川(2…

<大相撲九州場所>◇11日目◇19日◇福岡国際センター

東前頭15枚目の錦富士(29=伊勢ケ浜)が、同12枚目の藤ノ川(20=伊勢ノ海)を押し出し、8勝目を挙げた。幕内での勝ち越しは、今年1月の初場所以来5場所ぶり。

立ち合いでもろ差しを許してしまったが、左を差し直し。藤ノ川が巻き替えそうとしたところで一気に前に出た。

「2本入られるかもしれないと想定してアップをしていました。圧力がかかっていたんで、2本差されても対応できました。(藤ノ川には)強烈な首投げもあるんで、しっかり体を寄せられてよかったです」。入念な準備の末に勝ちきった。

取組後、NHKの取材に応じ、インタビュールームを出ると、弘前市出身の西岩親方(元関脇若の里)に「記録をつないでくれてありがとう」と声をかけられ、握手した。

青森県出身の幕内力士は142年間途切れていない。今場所は唯一の青森県出身幕内力士として歴史をつないだ。7勝した時点で幕内残留を確実にしていたが、勝ち越しで花を添えた。

「青森を背負って(自分が)10代のころから戦った大先輩に声をかけていただいてありがたい。親方衆にも声をかけていただけるのは、ありがたいことだと思います」

西岩親方は偶然通路ですれ違ったため、一門も部屋も異なるが、声をかけたという。日ごろはあいさつを交わす程度の関係だが、祝福せずにはいられなかった。「これは本人1人の記録ではなく、先輩たちから現役につながっている。この記録をつないでくれたことがうれしかった。僕らもなんとかつないで欲しい思いはあります。142年分のプレッシャーを背負って頑張ったと思います。青森の相撲ファンも喜んでいるでしょう」。

錦富士は首、肘、足首などに古傷を抱え、満身創痍(そうい)。「次の日に相撲を取れる状態でいられることがありがたいと感じます。1番にすべてを出し切っていけばいいという思いが、今まで以上に根強くあります。だから目の前のやることに集中できています」。覚悟を決めて土俵に上がっている。