<大相撲九州場所>◇8日目◇16日◇福岡国際センター東前頭4枚目の玉鷲(41=片男波)が、横綱大の里(25=二所ノ関)に…

<大相撲九州場所>◇8日目◇16日◇福岡国際センター

東前頭4枚目の玉鷲(41=片男波)が、横綱大の里(25=二所ノ関)にはたき込みで敗れた。

自身の持つ最年長金星(40歳8カ月)の更新はならなかったが、41歳の誕生日に横綱と熱戦を繰り広げた。

立ち合いから、右は強烈なのど輪、左はおっつけ。土俵際まで追い詰めた。だが、土俵の俵ぞいに動いた大の里にはたき込まれた。あと1歩だった。支度部屋のモニターを見ていた若元春は「惜しい! これぞ大相撲」と声を出していた。

「いや~、あと何センチですか? 本当に面白いですね。数センチの差ですね」と玉鷲。支度部屋に戻り、取り口を振り返ると、わずかの差を惜しんだ。

前日は横綱豊昇龍と善戦。「40歳の終わりで横綱、(41歳の)始まりも横綱。いい記念になりそうですね」と表情を和らげた。観客を沸かせた自負があるから「仕事としてはちゃんとできたな。自分としては残念」とも言った。

関取最年長ながら、気持ちが若い。土俵に上がるとスイッチが入り、熱くなってしまう。最近数場所のテーマは、適度な制御だ。「(横綱戦は)燃えるというより、楽しみ。最近、燃えるのをやめようと思って…。燃えると負けるから」。

体は衰えず、2004年初場所の初土俵以来、1741回も休場がない(コロナ禍での特例は除く)。これは歴代1位を更新中。この日、幕内出場回数が1445回となり、魁皇を抜いて単独2位になった。来年春場所中には、1位の旭天鵬(1470回)を抜く可能性がある。

ひとしきり取材対応を終えると、擦り傷にばんそうこうを丁寧に貼る細やかさがある。体が強く、気持ちが前向きで、ケアを惜しまない-。「まだやれそうですか」と聞かれ「40代をなめんな」と柔らかな口調で言った。【佐々木一郎】