<フィギュアスケート:グランプリ(GP)シリーズ第4戦NHK杯>◇7日◇大阪・東和薬品RACTABドーム◇男子ショートプ…

<フィギュアスケート:グランプリ(GP)シリーズ第4戦NHK杯>◇7日◇大阪・東和薬品RACTABドーム◇男子ショートプログラム(SP)

GPシリーズ初戦を迎えた鍵山優真(22=オリエンタルバイオ/中京大)は、ほろ苦スタートとなった。SP首位ながらも、スピンのミスが響き98・58点と100点の大台に届かず。気持ちを切り替えて、8日のフリーに臨む。GP第2戦中国杯優勝の佐藤駿(エームサービス/明大)は、96・67点で2位。ペアSPでは愛称「ゆなすみ」こと長岡柚奈、森口澄士組(木下アカデミー)が、自身初の70点超えとなる71・52点で4位発進となった。

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演技を終えた鍵山は、下を向いて頭に手を当てた。自身のシリーズ初戦でSP首位発進も、喜びは0。取材エリアに現れると、開口一番「ぼうぜんとしている自分がいる」「絶対にやってはいけないミスが出た」と、反省の弁を重ねた。

スケート人生18年目で、「初めて」という失敗だった。冒頭の4回転-3回転の連続トーループ、4回転サルコーでともに3・50点以上の加点を引き出して迎えた、3個目の要素。足替えキャメルスピンで、落とし穴が待っていた。「エッジの引っかかりがうまくいかなかった」と基本姿勢のポジションが取れず、0点の判定。動揺を抑えられず、ステップシークエンスでもバランスを崩した。目標としてきた自己ベスト更新はならず。「やっぱり細かい部分の点数の積み重ねがすごく大事。ジャンプ以外の部分もしっかりと落ち着いてやらなければいけない」と、唇をかんだ。

それでも、練習では抜けがあったサルコーなどを含め、ジャンプの不安要素は「思いっきり跳んだら大丈夫だった」と精神力で乗り越えた。直前に滑った中国杯優勝の佐藤がシーズンベストの好演で会場を沸かせたが「緊張はなかった」と強かった。98・58点は世界王者マリニンに次いで今季世界で2番目。当該のスピンとステップシークエンスで通常通りにレベルが取れていた場合は、5点以上の上乗せは確実。「自分がやらないといけないことを理解して、落ち着いてできれば大丈夫」と前を向いた。

好不調の波が激しかった昨季の反省から、今季は「引きずらない」ことを1つのテーマにしている。父の正和コーチにはこの日の演技後に笑って迎えられ、コストナー・コーチには「ただ自分を信じて落ち着いて」と助言された。周囲の後押しも力に変え「周りに流されず、自分のペースでできている」とうなずく。フリーでは、一皮むけた姿を見せつける。【勝部晃多】