◇国内女子◇住友生命Vitalityレディス 東海クラシック 最終日(20日)◇新南愛知CC美浜C(愛知)◇6600y…
◇国内女子◇住友生命Vitalityレディス 東海クラシック 最終日(20日)◇新南愛知CC美浜C(愛知)◇6600yd(パー72)◇晴れ(観衆7053人)
優勝会見でニコニコしていた神谷そらが、急に真顔で考え込んだ。5月「Sky RKBレディス」以来の今季2勝目で、年間ポイントレースのメルセデスランキングも2位へ。シーズン複数回優勝は3勝の佐久間朱莉に次ぐ2人目で、ランクも1位の佐久間に接近した。ところが、そんな事実がピンと来ない。
「この結果に、私がまだ一番追いつけていないんです。自分の中でやるべきことははっきりしているんですが」。少し申し訳なさげに、そう説明した。
一昨年は熱中症で急きょ出場をキャンセルし、昨年は左ひじ痛で2ラウンド途中に棄権した因縁の大会。前日には「なんでここ(首位)にいるか分からない。伸ばし合いがイメージできない」とこぼしていた苦手コース。前半3、5番(ともにパー5)と6番(パー3)で喫したボギーはほぼイメージ通りに打ったショットが、微妙に風などの影響を受けてトラブルにつながったという。首位タイから出て6バーディ、3ボギーの69で後続を1打抑えた逃げ切り劇を、本人はしきりに不思議がった。
プロ1年目の2023年に「日本女子プロ選手権」を含む2勝を挙げながら、昨季は0勝で年間ランクも43位に後退。脱皮を図るため、渡邉彩香らを指導する坂詰和久コーチについた。「オフにコーチを変えて、スイングを変えて、持ち球も変えて、練習方法も変えた。すべてを変えました。それで取り組んでいることの完成度が30%ぐらいで…」。Sky RKBレディス優勝時の「20%」から上がったものの、まだまだ目指す場所が遠い。
ただ、ゴルフの内容以外は素直に喜んでいる。ウィニングパットを決めると、笑顔で万歳した。4勝目にして初めての“ガッツポーズ”は「2勝目のあとぐらいから、知人やSNSのコメントで『見たい』と言われていたので」と恥ずかしそうにこぼす。「人見知りが激しくて」と、トーナメント会場では感情表現に乏しかったが、プロ生活に慣れることで笑顔も言葉数も増えてきた。
何より今週は、ぼんやり描く“トッププロの証し”も手に入れた。生涯獲得賞金が2億1041万8677円、年間獲得賞金が1億73万円へ。「生涯賞金は大会前から単独3位で(2億円を)超えると知ってました。年間1億円は知らなかったけど」。そう言ってガッツポーズを見せたのは“トップの人”が毎年のように到達すると考えているボーダーを超えたからだ。
今季のドライビングディスタンスは261.97ydで1位。「1ラウンド30は毎回切りたい」という平均パット数(パーオンホール)も1.7487で1位。パーオン率も70.4955%(25位)で、坂詰コーチが願う70%台をキャリアで初めてクリアしつつある。
「ポイントランクも何も意識してません。今年は準備の1年と決めているので、きっと最後まで意識しないと思います」。はたから見れば、ほぼ文句のない実績を残しながら、未完の大器は信じる道を歩いている。(愛知県美浜町/加藤裕一)