坂本は代打として勝負強さを発揮している(C)TakamotoTOKUHARA/CoCoKARAnext 野球評論家の佐野…

坂本は代打として勝負強さを発揮している(C)TakamotoTOKUHARA/CoCoKARAnext

 野球評論家の佐野慈紀氏が現在の野球界を独自の視点で考察する「シゲキ的球論」。今回は阪神に優勝を奪われ、CSでの巻き返しを狙う巨人に言及。短期決戦に大事なキーマンについて語っている。

 球界の盟主・巨人にとってはほろ苦いシーズンだった。

【動画】これぞ頼れる男!坂本が13日の阪神戦でサヨナラ打を放ったシーン

 2024年オフにはソフトバンクからFA権を行使した甲斐拓也や中日守護神だったライデル・マルティネスを獲得、戦力に厚みを増し、開幕前には多くの野球評論家から「V筆頭」にあげられたが、主砲岡本和真の長期離脱なども響き、チームの流れを生み出すことができなかった。

 結果として阪神が9月7日にリーグ優勝を決めた。これは2リーグ制以降、最短記録ともなり優勝決定時で2位の巨人含め、2位以下が借金生活と独走を許したことも話題を呼んだ。 

 ただ迎えるポストシーズンにおいては、阪神撃破の一番手となるのは「やっぱり巨人ということにはなると思います」と佐野氏は屈辱を晴らすべく、巨人が燃えると見る。「ただ、チームに爆発力がまだ足りない。綱渡り的に勝っているという印象が強いですね」と続ける。

 短期決戦においてはレギュラーシーズンと違って、チームを勢いづける選手も必要とされる。その中でポイントとなるのは「坂本勇人の起用法ということになると思います」と佐野氏は指摘する。

 坂本といえば、9月13日の阪神戦(東京ドーム)で1点を追う9回一死二、三塁の場面で登場。フルカウントからラファエル・ドリスの151キロのツーシームを捉えて劇的なサヨナラ打を放ったことも大きく話題を集めた。

 長く遊撃を守った背番号6も今季がプロ19年目、37歳シーズンとなる。最近では代打で勝負強い打撃を見せているとあって、すでに2000安打も達成しながら、今後の「生きる道」も注目されている。

 坂本に関して佐野氏も「正直、春先、6月とバッティングを見たときには全然調子が良くなかった」としながら、「ただ、最近の打撃を見ると、結構、感じがよくなってきてるんですよ。僕はCSに向けて使ったほうがいいと思う」と太鼓判。

 現在はベンチスタートが増えているが、先発起用も摸索しながら、チームの状態を上げていくことが大事とした。

 巨人にとってはまずはCSにより上位で進出すること、その上で虎退治にはベテランの底力がカギを握りそうだ。

【さの・しげき】

1968年4月30日生まれ。愛媛県出身。1991年に近鉄バファローズ(当時)に入団。卓越したコントロールを武器に中継ぎ投手の筆頭格として活躍。中継ぎ投手としては初の1億円プレーヤーとなる。近年は糖尿病の影響により右腕を切断。著書「右腕を失った野球人」では様々な思いをつづっている。

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