◇国内男子◇ISPS HANDA 夏の決戦・誰が一番強いんだトーナメント 3日目(23日)◇北海道ブルックスCC(北海…

ブルックス・ケプカのスイング動画をきっかけに

◇国内男子◇ISPS HANDA 夏の決戦・誰が一番強いんだトーナメント 3日目(23日)◇北海道ブルックスCC(北海道)◇7286yd(パー72)◇晴れ(観衆1110人)

スタート前、幡地隆寛はトイレの個室に入った。クラブハウス周辺の電波状況はあまり良くなく「ここならワンチャン、つながるかも」と思いスマホを見ると圏内を示す電波の印が数本立っている。いそいそと見たのが元世界ランキング1位ブルックス・ケプカのスイング動画だった。

ツアー自己ベスト「62」で首位浮上

出だし1番、フェアウェイから150ydの2打目。9番アイアンのショットが1mへ。「本当に打ちたい、イメージ通りのショット。それで良くなったんです」という約40分後の一振りをきっかけに、18番で4mだが下りスライスの難しいチャンスを「入れたかったですねえ」と外すまで、ボギーなしで10バーディを量産。国内ツアーの自己ベストを1打更新する「62」をたたき出し、24位から一気に首位に浮上した。

快進撃は朝トイレから約40分後に始まった

身長188cmで破格の飛距離を誇り、ずっと大器と期待された男がプロ9年目の昨年3月アジアンツアー「ニュージーランドオープン」でプロ初優勝。5月「関西オープン」で国内ツアー初タイトルを手にし、9月「バンテリン東海クラシック」で2勝目を挙げた。そんな飛躍にも満足せず「この先、何をしたらいいんだろう?」と思い悩み、今年2月から目澤秀憲コーチについてスイング改造に着手した。

まず手本にしたのは、美しいスイングで人気のミンウ・リー(オーストラリア)。動画をチェックしながらイメージを作ったが、始動から大きく長く後方にクラブを引く動きを意識しすぎて左肩を痛めて断念した。だから、ケプカは2人目のお手本。「流れがちな右ひざを止めて、股関節を」という新スイングのイメージに「よりインパクトで力を出せそう」とケプカの動きを重ねてきた。

「非常に魅力」という今季ツアー最高優勝賞金奪取へ

実は初日3番のティショットで、スイング始動後すぐにクラブヘッドが盛り上がっていた地面に当たり、気持ち悪さが続いていた。それがトイレとケプカのおかげでスッキリ解消したのだから、ゴルフはわからない。

今季は国内ツアー出場10試合で予選通過が4試合。最高位は「ジャパンプレーヤーズチャンピオンシップ」の52位で、4試合の通算獲得賞金約45万円。対して、今大会の優勝賞金は今季ツアー最高の4260万円。「今年、40万しか稼いでませんからね。非常に魅力的です」。色気を隠さず、頂点に狙いを定めた。(北海道苫小牧市/加藤裕一)