(5日、第107回全国高校野球選手権1回戦 創成館3―1小松大谷) 先発出場した小松大谷の松井蒼輔二塁手(2年)はこの…

 (5日、第107回全国高校野球選手権1回戦 創成館3―1小松大谷)

 先発出場した小松大谷の松井蒼輔二塁手(2年)はこの日、打たせて取る投手陣を守備でもり立てた。三回には勢いの弱いゴロを全力で走って捕り、ジャンピングスローでアウトにした。

 昨夏の石川大会では1年生で唯一の背番号19をもらった。チームは3年ぶりの甲子園をつかんだが、決勝の翌日に発表された甲子園メンバーからは唯一外されていた。

 「悔しかった。簡単に立ち直れなかった」と明かす。その夜、自宅の風呂で泣いた。甲子園では、アルプス席から仲間を鼓舞し、全力で声援を送ったが、「悔しさがこみ上げた」と振り返る。

 昨夏の甲子園後、西野貴裕監督から「今年は3年生が甲子園に連れて行ってくれた。次はおまえの力で行って欲しい」と告げられたという。「自分が一番練習して、絶対甲子園に行く」と決意し、その思いが今夏、結実した。

 しかし迎えた初戦は開幕試合で、スタンドには詰めかけた大勢の観客が見えた。「緊張して、チームのためにという思いが空回りした。甲子園で活躍できる人ってすごいなと思った」。6番打者としては無安打で出塁できないまま、2年目の夏が終わった。

 試合が終わり、3年生から「よくがんばった」と励まされ、涙が止まらなかった。「甲子園での借りは甲子園でしか返せない。絶対に来年、ここに戻ってきたい」と声を絞り出した。(砂山風磨)