「時は来た!ドラフト指名を待つ男たち」

宮川 哲 みやがわ・てつ
東海大山形→上武大
投手・右投右打・177センチ85キロ・1995年10月10日生(22歳)

 

 最速149km/hのストレートを持つ本格派右腕。変化球もストレートに近い軌道から不規則に動くカットボールやスライダー、カーブ、チェンジアップと多彩で、左打者も苦にせずインコースを突いていく投球が持ち味だ。
 
 文句なしのドラフト候補となるまでは遅咲きだった。中学時代には奈良・生駒ボーイズで笠松悠哉(立教大)らとともに全国制覇を果たすも、控えの野手で「嬉しい気持ちとともに悔しい気持ちもありました」と振り返る。

 東海大山形でも3年夏前からようやくエースとなったが、豪雨の中で行われた準々決勝でサヨナラのワイルドピッチで敗れ、甲子園は遠かった。
 だが「この時の情けない思いを糧にしました」と、少年野球時のコーチに勧められて進学した上武大で急成長を遂げた。
 部員約230人の大所帯ながら、全員でこだわりを持って一つひとつ取り組む仲間たちの姿にも感化され、生粋の馬力が開花した。
 早くから登板機会を掴み、結果が出ない時も「谷口(英規)監督が親身になって指導していただきました」と感謝を語る。
 下級生時代は「ただ投げているだけでした」と振り返るが、エースとなった今年は「打者や流れを見られるようになりました」と精神面でも大きく成長し、今春はチームを5季連続となる全国大会4強に導いた。今秋も優勝のかかった白鴎大戦で「4年間でベスト」と振り返る4安打完封で7季連続優勝を自らの手で掴んだ。
 
 普段はおっとりとした天然風の話ぶりで、谷口監督からの愛称は「バカ殿」。だがマウンド上では「持ち味は“いったろか”という強い気持ちで強く腕を振ること」と語るように攻めの投球で相手をねじ伏せる姿は爽快だ。
 また、成長を見守ってきた谷口監督も「パワーだけでなく、フォークやチェンジアップ織り交ぜて投球できるようになりました」と、投球の幅を広げた宮川の成長を讃える。
 学生生活最後の秋を前に「まだまだ全然甘いので、もっと成長できるように悔いなくやりきりたい」と語っていた宮川。強気な投球と妥協なき姿勢で、上武大に2度目の日本一をもたらし、プロの世界でもどん欲に高みを目指していきたい。

文・写真=高木遊