(26日、第107回全国高校野球選手権広島大会決勝 広陵2―1崇徳=延長十回タイブレーク) 1点を追いかける九回2死二塁…

(26日、第107回全国高校野球選手権広島大会決勝 広陵2―1崇徳=延長十回タイブレーク)

 1点を追いかける九回2死二塁。広陵の堀田昂佑投手(3年)が打席に立った。

 打たなければ、試合が終わる。そんな重圧をものともせず、迷わず初球を振り抜いた。打球は左翼手の頭上へ。走者をかえして同点に追いつくと、二塁上で拳を突き上げた。

 1年生で夏の甲子園のマウンドに上がった。だが、昨年冬に調子を崩し、投手を一時離れた。得意の打撃に力を入れ、春の県大会は4番に座った。

 投手と野手の練習を重ね、「誰よりも一番しんどいことをやってきた」と自負する。その道のりに自信があるからこそ、緊張とは無縁だ。チームは崇徳の堅守に何度も好機を封じられたが、「俺が抑えてやるから安心しろ」と声をかけ続けた。

 その言葉通りだった。

 九回までに、三塁を踏ませたのは失点した1度だけ。6イニングを打者3人ずつで抑えた。同点打を放った直後の九回裏も、先頭に内野安打を許したが、冷静に切り抜けた。

 1点リードの十回裏の延長タイブレーク。「1点とられてもOK」と中井哲之監督から言われたが、絶対にこの回で終わらせると決めていた。

 1死二、三塁。打者に投じたのは得意のチェンジアップ。打者2人を狙い通り内野ゴロと三振に仕留めると、吉村舜捕手(同)と抱き合って喜んだ。

 「試合を重ねるごとに調子が上がってきた。今日の投球は反省点もあったが、大事な場面で打てて良かった。甲子園では気迫のある投球で、打者を翻弄(ほんろう)したい」

 土まみれになった背番号10のユニホーム姿で、そう語った。(遠藤花)

■広陵・中井哲之監督のコメント

 広陵・中井哲之監督 劇的な勝ち方は、練習を一生懸命やった結果。甲子園では愛されるチームを目指し頑張りたい。

■広陵・空輝星主将のコメント

 うれしい。スタンドも含め全員で戦うという気持ちだったので、応援が力になった。目標は日本一。