史上4人目の日本人NBAプレーヤーとなった河村勇輝。彼の特別な想いが詰まったスペシャルエディション「UNPRE ARS LOW…
史上4人目の日本人NBAプレーヤーとなった河村勇輝。彼の特別な想いが詰まったスペシャルエディション「UNPRE ARS LOW 2 RT」が6月1日(日)に発売される。創業時からバスケットボールシューズを原点としてきたアシックスにとっては、バスケットボール部門初となるスペシャルエディションであり、特別な一足。今回は、その企画を担当したアシックスジャパン株式会社の案浦萌氏に、誕生までの舞台裏と河村とのエピソード、特別な一足に込められた想いを聞いた。
インタビュー・文=藤田皓己
■原点(ルーツ)をテーマに…他のカラーリング候補も
――アシックス初の河村勇輝選手スペシャルエディション「UNPRE ARS LOW 2 RT」は、どのように誕生したのでしょうか。企画プロセスを教えて下さい。
案浦 企画は約2年前、発売のタイミングを決めるところからスタートしました。当時から日本のバスケットボール界を背負う存在になると確信していました。
そんな河村選手のシューズにふさわしいテーマが何かを考えたとき、思い浮かんだのが“原点“でした。河村選手は「次世代アスリート」「子どもたち」という言葉をよく口にしていて、自分の姿を見てバスケットを始めてくれる子どもたちや、バスケットを頑張っている子どもたちの存在を常に意識されています。そうした想いを受け止めて、彼の“原点”に迫るような一足を目指しました。
――今回のモデルを河村選手に提案するにあたって、どのようなやりとりがありましたか。
案浦 初めてやりとりしたのは約1年半前です。モデル自体は河村選手に愛用していただいている「UNPRE ARS LOW 2」をベースに選定し、河村選手にも合意いただいて製作しました。オンラインでやりとりを重ねながら、企画担当の私以外にも選手担当者がいますので、直接フィードバックを受けたりもしています。
――カラーリングは「庭から見える空」がモチーフとなる紅掛空色(ベニカケソラ)が採用されました。このデザインに決まった経緯は。
案浦 最初に河村選手にデザインをご提案した段階では、「お庭」以外にも「家族愛」を表現したカラーリングだったり、いろいろな候補がありました。河村選手からは、ご自身のプロセスを表現できているのが「お庭」をコンセプトにしたカラーリングなんじゃないかと仰っていただいたので、それをベースにサンプリングをしていきました。
■河村のルーティーンとつながる“特別なデザイン”
――河村選手と「UNPRE ARS LOW 2 RT」の企画を進める中で、印象的だった言葉はありますか。
案浦 「プロセスを大事にしています」ということを仰っていたのがすごく印象的でした。本当にすごいなと思ったのですが、幼少期から「結果だけではなく、どれだけ準備ができたのか、そのプロセスで自分に何ができたのか、全力で取り組めたのかどうかが大事だ」と考えていたようです。自分の子ども時代を振り返っても、なかなか自発的にそういう思考にはならないですよね。そこで、深堀ってお話を伺ったところ、お父様から「過程を大切に考えた方がいい。すべての準備を全力で取り組みなさい」と教えてもらったようです。河村選手はバスケットボールをプレーする子どもたちにも「プロセスの大切さを心に留めてバスケットボールを頑張ってほしい」と仰っていました。
それをベースに幼少期にどんな練習をしていたのかお伺いしたら、「長時間練習が全てではなくて、短時間の間でどのくらいシュートが決まるのかを考えながら練習にとりくんでいました」とお話されていました。どれだけ集中して練習ができるか、それを考えながら日々練習していた場所が「お庭」だったので、その情景をコンセプトにシューズ全体のカラーリングに落とし込みました。
――河村選手のこだわりが詰まった部分はどこでしょうか。
案浦 タング部分にデザインされた「past efforts, future brilliance(努力の日々が未来につながる)」という言葉は、河村選手の要望で追加したデザインの一つです。プロセスを大事にする河村選手の想いが込められているメッセージですね。
特にこれをシューズのタング部分にいれるのは河村選手のこだわりでした。河村選手は一礼してコートに入るのがルーティーン。そのタイミングで目に入りますし、シューレースを結ぶタイミングでもこれが目に入る。河村選手にとっては、自分を奮い立たせたり、初心に戻ることができる言葉です。そんな想いが込められた言葉を、全てのバスケットボールプレーヤーに、どのタイミングで見てほしいのか、そういったこともシューズのデザインに落とし込めているのかなと思います。
■シグネチャーシューズ含め今後の展開は?
――やりとりするなかで河村選手が“特別”だと感じたことはありましたか。
案浦 年齢よりも大人っぽい考え方をされる方だなと思います。また、河村選手とお話していると「子どもたち」というワードがすごく出てくるのは特別かなと思いますね。次世代を担う子どもたちへの思いが強いのも河村選手の特徴的な部分だなと感じます。
今回は「UNPRE ARS LOW 2 RT」のカラーリングデザインを、ジュニア向けシリーズの「DUNKSHOT MB」と連動させることになりました。これはアシックスでは初の試みです。また、河村選手からの要望もあり、当初予定にはなかった「past efforts, future brilliance」という言葉を「DUNKSHOT MB」のアッパーにもデザインしました。自分の信念を子どもたちにも感じてほしい――。そんな河村選手の想いが込められたこだわりポイントの一つです。
――「UNPRE ARS LOW」シリーズの今後の展望はいかがでしょうか。河村勇輝シグネチャーシューズの待望論もありますが…。
案浦 やはりバスケットボールはシューズが果たす役割が大きいなと思っていて、足元から選手を支えさせてもらっていることはすごく名誉なことだと感じています。今も継続して選手とコミュニケーションをとらせていただいていて、シューズをどうやってアップデートしていったらいいのか、選手からのフィードバックを可能な限り反映できるように私たちも努力しています。ただ、今お話できる内容はなかなかないので、ここは乞うご期待ということでお願いします(笑)。これからも進化は続けていきます!
――最後に企画チームとして「UNPRE ARS LOW 2 RT」に込めた思いを。
案浦 河村選手は学生やお子さまからの知名度は圧倒的ですし、河村選手の人となりも含めて好きだという声がすごく多い選手だと感じています。そういった選手の特別モデルを作らせてもらったことはすごくありがたいことだなと思っています。このシューズを着用してバスケットボールを頑張ろうと思っていただいたり、河村選手の想いを受け取って、もっとバスケットボールが上手になるために練習を頑張ろうと思ってくれるような人が増えてくれたらいいなと思っていますし、河村選手もそういう想いを込めてシューズデザインに関わっていただいたので、その想いが伝わったらいいなと思っています。
【ポップアップイベント「ROOTS to ROUTES」開催】
アシックスバスケットボール史上初となる河村勇輝のスペシャルエディション発売を記念し、5月17日(土)と18日(日)に福岡でポップアップイベント「ROOTS to ROUTES(ルーツトゥルーツ)」が開催された。
会場はシューズの展示だけでなく、河村のバスケットボールへの姿勢や覚悟にも触れられる構成となっており、ファン参加型のメッセージムービー撮影も行われた。2日間通して子どもから大人まで約500名が来場。予定されていたシューズ予約販売数はほぼ完売になる盛況ぶりだった。
河村の出身地は山口県柳井市だが、福岡第一高校への進学が大きなターニングポイントの一つだったことから、“福岡”がポップアップイベントの開催地に。担当者も「ここまで選手と一緒に作り上げてきた企画は初めて」と語る。
5月23日(金)から6月15日(日)には、アシックスフラッグシップ原宿(東京)とアシックス大阪心斎橋(大阪)でも特別展示を実施予定だ。「シューズ展示に加え、河村選手の想いを感じられるスペースになっています」と担当者。見どころ満載の空間となっている。
●スペシャルエディション特別展示店舗について
日時:5月23日(金)~6月15日(日)11:00~19:00
場所:アシックスフラッグシップ原宿(東京都渋谷区神宮前1丁目5-8)アシックス大阪心斎橋(大阪府大阪市中央区心斎橋筋1-8-1 )
※販売状況により、予告なく展示を終了する場合があります。
●アシックスオンラインストア・アシックスストア予約・発売時期について
・5月21日(水)アシックスオンラインストア予約開始
※限定数での予約受け付け。詳細はHPまで。
・6月1日(日)アシックスフラッグシップ原宿、アシックス大阪心斎橋 発売開始
※5月23日からオンライン上で事前入店の抽選。 詳細はHPまで。
・6月2日(月)アシックスオンラインストア 発売開始