アジア選手権Vメンバーが帰国会見 台湾で開催された「第28回 BFA アジア選手権」で2大会ぶりに優勝した侍ジャパン社会…
アジア選手権Vメンバーが帰国会見
台湾で開催された「第28回 BFA アジア選手権」で2大会ぶりに優勝した侍ジャパン社会人代表が9日、優勝カップを土産に帰国した。優勝記者会見には代表を初めて指揮した石井章夫監督、主将の佐藤旭外野手(東芝)、ベスト10投手と最優秀防御率の谷川昌希投手(九州三菱自動車)、ベスト10三塁手と首位打者の北村祥治内野手(トヨタ自動車)の4名が出席。日本の社会人野球の強さをアジアに示し、金メダルを獲得した喜びを語った。
今後も守り抜く「日本の伝統」 アジア制覇の侍ジャパン社会人代表、勝因は守備力(侍ジャパン応援特設サイトへ)前回大会の2年前は日本の連覇が「5」で途絶えた。今大会は予選ラウンド、スーパーラウンドと5戦無敗でアジア王者を奪還。石井監督が「アジアNO.1を獲るということで行きました。無事に優勝できてホッとしている」と言えば、佐藤主将も「内容より結果にこだわった試合にしたいということで戦ってきた。結果、5連勝という形で大会を締めくくることができ、嬉しい。ホッとしている」と安堵の表情を見せた。
攻撃では高い集中力としっかり仕留める技術力で他を圧倒した日本だが、石井監督ら代表チームは勝因に守備を挙げる。「想定通り、韓国と台湾には苦労した。非常に厳しい試合になったが、日本の野球というのは守りが非常に強い持ち味。守り抜いた日本の野球をやった結果がいい成果に結びついたと思います」と指揮官。北村も「決勝戦の序盤の2つのダブルプレーが勝敗を分けたと思っている。ショートの藤岡(裕大、トヨタ自動車)がセンター前に抜けそうな打球を取っていなかったらと考えると、最終的に6-1で勝ったが、得点が反対になっていてもおかしくないゲームだった。先ほど、石井監督もおっしゃったように、守り勝つことができた、印象的な試合になった」と振り返った。
代表経験を今後の野球に生かしていく。開幕投手を務め、セミファイナルの韓国戦では8回を無失点、決勝では9回を締めて胴上げ投手とフル回転した谷川は「僕自身、初めての海外試合ということで不慣れな部分もたくさんあったが、監督をはじめ、スタッフの方々に助けられ、いい経験をさせてもらった。日本代表に選んでいただいて感謝の気持ちでいっぱい。これをチームに持ち帰って、後輩に伝えていきたい」とつないでいくつもりだ。
予期せぬアクシデントもあった大会、指揮官「そういった環境に順応していった」
佐藤主将も「こういう舞台で試合を経験させていただいたのは幸せなこと」と言い、「チームに持ち帰って、自チームでこの経験を生かしていかないといけない。また、今後の社会人野球を引っ張っていく存在にならなければいけないと思う」と決意。北村は「個人的にはもっとレベルアップしないといけない。今回、経験したいことを自チームはもちろん、社会人全体の野球のレベルアップに繋げていかないといけないと思う。この経験を周りに伝え、経験させて頂いたことが無駄にならないようにしたい」と今後を見据えた。
石井監督は「社会人野球として、国際経験を多く積むことが大きなテーマ」だと話す。国際大会は予期せぬことが起こるが、今回も時間の変更や「当たったか当たらないかわからない程度」(チーム関係者)とはいえ、移動のバスが接触事故を起こした。開幕投手を務める予定だった田嶋大樹投手(JR東日本)も頭部に送球が当たり、決勝まで登板できなかった。
「今回は現地入りしてからいろんなことが起きすぎたが、選手もそういった環境に順応していった。そういった部分でも非常に良い経験になったと思う」と石井監督。午後にはセンターの真上に太陽が来たり、土が固かったりといった球場の特徴や食事面でも日に日に順応。試合のたびにチーム力を高めていった。
来年は、インドネシア・ジャカルタでアジア競技大会が開催される。指揮官は「もう一度、チームを再編しないといけない。このアジア選手権である程度の戦い方のヒントをいただいた。それをもとに選手を選考し、強いチームを作りたい」と次なる戦いに目を向ける。選手にとっては11月の日本選手権、そしてウインターリーグがアピールの場になる。侍ジャパン社会人代表はさらなる強いチームへ、進化を止めない。(高橋昌江 / Masae Takahashi)