NTTジャパンラグビー リーグワン2024-25ディビジョン1 第15節(リーグ戦)カンファレンスB2025年4月13日(日)14:30 ゼットエーオリプリスタジアム (千葉県)リコーブラックラムズ…

NTTジャパンラグビー リーグワン2024-25
ディビジョン1 第15節(リーグ戦)カンファレンスB
2025年4月13日(日)14:30 ゼットエーオリプリスタジアム (千葉県)
リコーブラックラムズ東京 37-7 トヨタヴェルブリッツ

自身初のプレーヤー・オブ・ザ・マッチに輝いた、「あと一回、もう一歩」を体現した“生え抜き選手”


リコーブラックラムズ東京のハリソン・フォックス選手。「このチームが、僕を成長させてくれました」

トヨタヴェルブリッツ(以下、トヨタV)をゼットエーオリプリスタジアムに迎え、ホストゲームに臨んだリコーブラックラムズ東京(以下、BR東京)。序盤からディフェンスで耐え、ペナルティゴールで流れを作れば、後半の3連続トライで一気に引き離した。

最終スコアは37対7。ボーナスポイント付きの勝ち点5を獲得し、プレーオフトーナメント進出に向け望みをつないだ。

この日決めたトライは二つ。自身初となるプレーヤー・オブ・ザ・マッチ(以下、POTM)を獲得したのは、BR東京の“生え抜き”選手であるハリソン・フォックスだ。

2021年、20歳のときに来日し、BR東京でプロフェッショナルキャリアをスタートさせた24歳。リーグワンデビューは2022年2月。奇しくもこの日と同じ、トヨタV戦のことだった。

それから丸3年が経ち、初めて手にしたPOTMの称号。フォックスは「このチームが、僕を成長させてくれました。すごくラッキーなこと」と口にする。ラインアウトをはじめとしたセットピースからのアタックに、3年間の成長を感じたという。

フォックスが座右の銘に掲げる言葉がある。

『Tough times never last, tough people last.』

困難な時期は決して続かないが、タフな人間はもちこたえる、という意味の言葉だ。

あと一回、あと一歩。それからのもう一回。「あと一回」の気持ちとともにボールを要求するオンフィールドでの彼の姿勢は、その言葉に由来する。

この日フォックスが決めた2トライ目は、まさしく「あと一回」を体現したプレーから生まれたものだった。トライライン間際で仲間とともにフェーズを重ね、最終的にフォックスが押し込んだ姿は、タフなプレーヤー像を映し出す。

「いつも(能動的に)自分でプレーしていきたい、と思っています」

常に地に足の付いた振る舞いを見せる者がわずかに表情を緩め、そう口にした。

プレーオフトーナメント進出は、レギュラーシーズン6位まで。現在8位に位置するBR東京だが「準々決勝に進出することが僕たちの目標」だとフォックスは眼光を鋭くする。

「そのためにも今日みたいなラグビーをしたい。BR東京のラグビーをすることにこだわりたい」と、勝負の残り3試合を見据えた。

(原田友莉子)

リコーブラックラムズ東京


リコーブラックラムズ東京のマット・テイラー コーチングコーディネーター(右)、TJ・ペレナラ ゲームキャプテン

リコーブラックラムズ東京
マット・テイラー コーチングコーディネーター

「チームとしても今日はすごく誇りに思うパフォーマンスでした。みんながここ1カ月ハードワークをし続けてきて、そのハードワークが実になったと思いました。アタックの良いスキル、ディフェンスの良いところも見てもらえたと思います。全体的に良いゲームだったと思います。シーズンをストロングフィニッシュできる良い形になったのではないか、と感じます」

──メイン平選手はキック成功率100%でした。どう感じていますか。

「ゴールキックはメンタリティーが大事ですよね。(試合中に)ミスしても引きずらずにやることが大事かなと思います」

──中楠一期選手もあまり引きずらないように思いますが、どう感じていますか。

「そうですね。そういった特性はあるかな、と思います。ミスがあったとしても、そこに引きずられることなくすぐ次に切り替えられます。若い選手がそういうことをできることは、すごくポジティブだと思います」

──今日はディフェンスが素晴らしかったです。何か修正をしたのか、もしくはここ数試合での学びがあったのか、教えてください。

「コリジョンに勝つこと、相手をしっかりチョップタックルすることにフォーカスしていました。先週のクボタスピアーズ船橋・東京ベイ戦で学んだことです。チョップタックルをして相手をしっかり倒すことにフォーカスしてきました。

あと雨の日は、よりディフェンスが目立ちやすいですよね。スキルが実行しづらいので。本当は最後、無失点に抑えたかったところですが、しっかりとお互いのためにハードワークをし続けてくれたと思います。

ディフェンスはカルチャーを映すものです。お互いのために、ということが大きく関わります。TJ(・ペレナラ)もディフェンスグループの一人として、よくドライブしてくれています。スクラムハーフですが、タックルも大好きな選手なので(笑)。今日も良い姿を見せてくれました」

──テイラー コーチングコーディネーターは役割として、ディフェンスをメインで担当されているのでしょうか。

「はい、役割としては、ディフェンスがメインです。このチームに来る前もやっていました」

リコーブラックラムズ東京
TJ・ペレナラ ゲームキャプテン

「僕も(テイラー コーチングコーディネーターのコメントに)アグリーです。今日は良い仕事をたくさんできたと思いました。ディフェンスがすごく良かったと思います。

トヨタヴェルブリッツは最近の試合で良いパフォーマンスを見せてきており、埼玉パナソニックワイルドナイツにもプレッシャーを掛けていました。脅威となる選手が多くいるチームです。そんなチームを相手に、ディフェンスで抑え切ったことが良かったと思いました。

あと今日は、フォワードがすごく良かったと思います。今日だけではなく、ここまでもずっとフォワードは良くやってくれています。フォワードがああいうパフォーマンスをしてくれると、僕や(中楠)一期、(伊藤)耕太郎はゲームをコントロールしやすくなります。

今日の勝利によって、プレーオフトーナメントへのチャンスもつなげたのかなと思います」

──ゲームマネジメントで良かったところはどこでしょうか。

「前半は15人対13人という時間帯もあったので、そういう数字もプラスに働いたのかなと思います。あとはコーチ陣からの『ポイントを取るように(ペナルティゴールを狙うように)』という指示もありました。そこも良かったんじゃないかな、と思います。
相手が13人だったので、僕としてはコーナーを狙ったり(ペナルティゴールではなくタッチに蹴ってマイボールラインアウトからトライを狙うこと)、スクラムを組んだりしたかったんですけど(笑)。でもコーチは離れて見ているので。中でプレーしている人と、上(コーチボックス)から見る絵は違うので、助けになっています。指示があった場合にはしっかりと聞き入れていますよ。あとはバックスのキッキングゲームも良かったかな、と思います」

──勝ち点を伸ばし、プレーオフトーナメント進出の可能性も残ります。バイウィーク明けがとても重要になると思いますが、いかがでしょうか。

「レギュラーシーズンの残り3試合、すごく大事になります。自分たちの上(の順位)にいる東京サントリーサンゴリアスと戦えることは助けになると思います。対戦カードの細かいことについては分からないですが、ある程度自分たちで自分たちの今後を左右できるので、チャンスをつかめるかなと思います」

──(記者会見中にテイラー コーチングコーディネーターの携帯電話が鳴り、ペレナラ選手が「何してんねん」と突っ込んだところから)「何してんねん」は誰から習ったのですか。

「ミナミさん(南昂伸)に教えてもらいました(笑)」

──メイン選手はキック成功率100%でした。テクニック面、メンタル面など、一緒にプレーしていてどのように感じますか。

「彼の自信は伝染するんでしょうね。先週だったかな、終盤でペナルティゴールをミスしたシーンがあったと思うのですが、全然自信を失わなかったんです。積極的な姿勢を失わないので、すごいなと思っています」

トヨタヴェルブリッツ


トヨタヴェルブリッツのスティーブ・ハンセン ヘッドコーチ(左)、姫野和樹キャプテン

トヨタヴェルブリッツ
スティーブ・ハンセン ヘッドコーチ

「今日の結果に関しては非常に残念です。チームとしては非常に良い準備が1週間をとおしてできており、また自信もありました。今日の結果はそれに伴わない形になってしまいました。スクラムでやられてしまったこと、イエローカードが2枚出てしまったこと。その間良いディフェンスはできていましたが、とはいえ毎週のようにカードをもらってしまっているという事実に対して、チームとして対処する必要があると思っています。

そのほかの面では、ラック時にボールを大切にすることができませんでした。ラインブレイクの回数はリコーブラックラムズ東京と同じような回数であったものの、結果として多くのターンオーバーを取られてしまいました。そういったところをチームとしては見つめ直して、再来週の月曜日から再始動していきたいです。いまの心境としてはとても残念です」

──試合前は奥井章仁選手と姫野和樹選手をどう入れ替えるかという話がありましたが、最終的には姫野選手が80分出場しました。試合の流れが影響したのでしょうか。

「チームとしては、そういった判断に柔軟性をもって対応していきたいと考えています。その結果、今回姫野選手はフル出場となりましたが、オフ期間中に本人には回復してもらいたいと思っています。もちろん、当初のプランとは異なる形になりましたが、メンバーの入替はフィールド上の状況を加味したもので、今日下した判断がチームにとって最適なものでした」

トヨタヴェルブリッツ
姫野和樹キャプテン

「自分も(ヘッドコーチと)同じく残念に思っています。今日の選手一人ひとりのエフォート、努力値は素晴らしいものがありました。イエローカードが出たあと、13人でも、みんなひたすら頑張って、努力してくれたこと、キャプテンとして誇りに思います。だからこそ結果が出なかったことが本当に悔しい気持ちでいっぱいです。

タクティカルなことに関しては、スティーブが言ったとおりです。まだまだ直さなきゃいけない部分もあると思います。いまの状態、実力を真摯に受け止めて、バイウィーク明けの3試合、自分たちのラグビーを見せられる準備をしていきたいと思います」

──姫野選手個人としては、久しぶりの復帰でした。心境はいかがでしょうか。

「個人的な話をしますと、今日復帰できたことをうれしく思います。10試合ぶりにラグビーをしましたが、体の感覚などはまだまだ全然大丈夫だなと感じました。まだまだこれからコンディションも上げられるかなと感じられたゲーム、という感じです」

──キャプテンとして残り3試合、どのようにチームを引っ張っていきたいですか。

「キャプテンとしてやるべきことは、自分たちがいま何をするべきか、と常にフォーカスし続けることです。一つひとつの試合を未来にも過去にも引きずらずに、しっかりといまにフォーカスをしていけるようドライブしていければいいかなと思います」

──久しぶりのゲームで、気持ちがパフォーマンスにフィットしていないように見受けられましたが、ご自身ではどのような感覚だったのでしょうか。

「フィットしていない感覚はなかったですね。ゲーム的な流れもありましたし、苦しい時間もたくさんありましたけど、今日の自分のフォーカスとしてはディフェンスでした。しっかりチョップタックルして、ブレイクダウンのコリジョンで働くこと。ゲーム前にスティーブに言われていたことは『多くのことをしなくていい』ということでした。自分のディフェンス、二つのことをまずフォーカスしてほしいと言われていました」

──ボールキャリーが少なかったのは、今日のフォーカスにはなかったからでしょうか。

「それはそういうゲームシチュエーションではなかったからですね。できるチャンスがあれば、もっとしたかったです」

──前半なかなか得点が取れない中、ハーフタイムにはキャプテンとしてどのような声掛けをしましたか。

「エフォート、努力値は素晴らしいものがある。ただその中で、熱くなり過ぎている部分がディシプリン(の欠如)につながっているところがあったので、『そこをもう一つクールに、もっと気持ちを客観視して落ち着いてプレーしよう』と話していました。
最後のほうは自分たちのラグビーができるところも多々ありましたし、後半は少しずつ自分たちのラグビーができるようになったので効果はあったのかな、と思います」