NTTジャパンラグビー リーグワン 2024-25ディビジョン3 第12節2025年4月12日(土)13:00 Balcom BMW Stadium (広島県)マツダスカイアクティブズ広島 35-4…
NTTジャパンラグビー リーグワン 2024-25
ディビジョン3 第12節
2025年4月12日(土)13:00 Balcom BMW Stadium (広島県)
マツダスカイアクティブズ広島 35-41 狭山セコムラガッツ
役割を理解し、それを遂行する。大接戦の“首位攻防戦”で示した気概
狭山セコムラガッツの左プロップ上野拳太郎選手(中央手前)と右プロップ白川直人選手(中央奥、ヘッドバンド)
首位攻防と呼ぶにふさわしい一戦だった。激しいぶつかり合いを見せ、互いに5トライを奪う大接戦となったが、二度のペナルティゴールにより得点を伸ばした狭山セコムラガッツ(以下、狭山RG)に軍配が上がった。敗れたマツダスカイアクティブズ広島(以下、SA広島)もラストプレーで得点し、7点差以内の敗戦によるボーナスポイントを獲得するなど、意地を見せた。
この試合で光ったのは、狭山RGのセットピースだ。スクラム、ラインアウトともに相手に激しいプレッシャーを掛けてSA広島のミスを誘い、そこからの決定的なチャンスをほとんど作らせなかった。
そんな中で活躍を見せたのが、プロップの上野拳太郎と白川直人。「スクラムでずっとプレッシャーを掛け、チャレンジし続けることが僕の仕事。それを最後まで貫けましたし、全員で体を張って80分間戦い抜いたことが勝利につながったと思います」と上野が話せば、「スクラムでプレッシャーを掛け続けることができ、相手もかなりイヤがっていたと思う。そこから得点も奪えたので、フォワードとしての仕事はできたと思います」と白川も笑みを浮かべた。
SA広島はわずかなスキを見逃さず、インサイドから強烈なアタックを仕掛けることを武器にしている。これに対しても上野、白川は果敢なタックルで何度も防いだ。この点を上野に聞くと、「タックルに関してはがむしゃらに向かっていっただけです。今日はいつも以上に気合いも入っていましたし、どうなってもいいというぐらいの気持ちで向かっていきました」と答えた。この日、プレーヤー・オブ・ザ・マッチに輝いた白川も「とにかく全員が同じ気持ちで立ち向かえたことがこの結果につながったと思います」と話した。
バックス陣では、途中出場で流れを変えるトライを奪った中洲晴陽の活躍も見事だった。後半開始直後、忽那鐘太にアクシデントがありピッチへ。そこから1分後に逆転のトライを決めた。「いつでも出られるように準備をしながら、相手のスペースも確認していました。入ってすぐ、スペースが空いたときにチェイス(ティアティア)がいいパスをくれたので、あとは走るだけでした」とコメント。ボールキャリーでチームに貢献することが一番という中洲は、「スタメンでもリザーブでも僕の役割は同じ。だからしっかりと準備することを心掛けています」と胸を張った。
自身が託されている役割を理解し、それに応えるための準備をする。これができていたからこそ、上記の3人も含めた狭山RGの選手全員が、自信をもって試合に挑めたのかもしれない。残り3試合、D2/D3入替戦に臨むことができる2位以上を確定させるためにも落とせない試合が続く。だからこそ選手たちは、次の中国電力レッドレグリオンズ戦へ向け、最高の準備を整えていくだろう。
(松野友克)
マツダスカイアクティブズ広島
マツダスカイアクティブズ広島のダミアン・カラウナ ヘッドコーチ(左)、芦田朋輝キャプテン
マツダスカイアクティブズ広島
ダミアン・カラウナ ヘッドコーチ
「いい勝負になるというのは試合前から思っていました。その中でうまくいかないところがいっぱいあったという感想です。中でもセットピースのところは改善しないといけないと思います」
──敗れてしまいましたが、最後にボーナスポイントを獲得できたことは大きかったと思います。その点についてはいかがでしょうか。
「最後のトライについては良かったと思います。このポイントもシーズンが終わったときに大きなものになるでしょう。でも、ミスが多く自分たちらしいラグビーができず、チャンスを作ることができなかったのは残念です。残り試合は全部勝たなければいけないと考えています」
──今日の狭山セコムラガッツ(以下、狭山RG)のプレッシャーはかなり激しかったと思います。かなり研究をされていると感じましたか。
「あまり感じなかったです」
──ディビジョン3を優勝してのD2/D3入替戦進出も見えてきたと思います。残り3戦へ向けた意気込みを聞かせてください。
「いまの順位は関係なく、シーズン当初と同じ気持ちで挑んでいくことは考えています。その中で課題であるセットピースの改善をしないといけないと思います」
マツダスカイアクティブズ広島
芦田朋輝キャプテン
「今日の試合は、自分たちがシーズンをとおしてやってきたプロセスを信じようというところから臨みました。試合をとおしてやり切るということは意識できたと思いますが、やはりセットピースのところ、ラインアウト、スクラムのところで狭山RGさんに上回られてしまったことが、この点差、結果につながったと思っています」
──敗れてしまいましたが、最後にボーナスポイントを獲得できたことは大きかったと思います。その点についてはいかがでしょうか。
「今季の目標としているところは、チーム全体で共有できています。80分間、あきらめるような選手は一人もいないので、結果的に最後、ワントライが取れて、ボーナスポイントにつながったと思います」
──今日の狭山RGのプレッシャーはかなり激しかったと思います。かなり研究をされているということは感じましたか。
「相手を研究することはお互いさまだと思うので、プレーの中で感じることはなかったです。なので、スタンダードな部分で上回っていくことが今後の勝負でも大事になるかなと思います」
──D3を優勝してのD2/D3入替戦進出も見えてきたと思います。残り3戦へ向けた意気込みを聞かせてください。
「残り3試合ですが、まずは一つひとつの試合。どのチームもラクに勝てる相手では絶対にないので、目の前の試合にフォーカスしてやっていきたいと思っています」
狭山セコムラガッツ
狭山セコムラガッツのスコット・ピアス ヘッドコーチ(左)、飯田光紀キャプテン
狭山セコムラガッツ
スコット・ピアス ヘッドコーチ
「見たら分かると思いますが、ギリギリの試合でした。前の2試合に負けていて、それもギリギリの試合でした。今季の最初の2試合は負けた相手に対して、今日は、プライドをもってプレーできたと思います。また、今週はメンバーの中には親戚を亡くした選手が二人いて、さらに先日も日本ラグビー協会の元副会長である真下昇さんが亡くなられた。そういう意味でも今日の試合で勝てたことは意味があるものだったと思います。
試合後、選手はすごく喜んでいました。プレッシャーがある中でチームはいい雰囲気でプレーして、いいチャレンジもできました。また両チームともに風下のときにいいプレーができていたと思います。残り3試合、そういうチャレンジは続けないといけないです。
今日、(3位の)クリタウォーターガッシュ昭島も勝ち点5で勝って(2位の狭山RGとの)勝ち点差が一つ縮まりました。トップ2で終わるためには、プレッシャーもキープしなければならないと感じています」
──逆転されて迎えたハーフタイムで、選手たちに伝えたことを教えてください。
「前半、マツダスカイアクティブズ広島(以下、SA広島)はペナルティも多くチャンスを作れずにいました。選手たちは、その部分も分かっている様子でした。その姿を見て、選手たちの成長を感じました。ですから、次のターゲットの話をしたぐらいです。今日の試合は、本当にビッグステップになりました。ハーフタイムもすごくいい緊張感を保ちながらリラックスしていたので、ステップアップしているなと感じられました」
──最後にトライを奪われた部分は、ヘッドコーチが常々言っていた80分間のパフォーマンスという点が課題になったと思いますが、いかがでしょうか。
「80分間、よくプレーしたとは思います。でも最後の部分は、難しい。最後までプレーをやめていなかったけれど、疲れがあったとは思います。両チームともに激しいゲームをしましたから。その部分は、次のフォーカスになると思います。次の相手である中国電力レッドレグリオンズもいいチームです。いまはけが人がいるので、パフォーマンスがよくなかっただけだと捉えています。次に向けてしっかりと準備していかないといけないと感じています」
狭山セコムラガッツ
飯田光紀キャプテン
「まずはリーグワン関係者の皆さま、グラウンドを用意してくださった関係者の皆さま、そしてSA広島の関係者の皆さま、いいサポートをありがとうございました。
今日の試合に関しては、前回の試合後のインタビューでも言ったように、コリジョンのところがすごいカギになってくると思っていました。前半の最初から体のぶつかり合いがすごく多くなりましたが、そこで負けずにしっかりとディフェンスできたことでいい方向に進んだというふうに思います。
あと、攻められる時間帯も多かったのですが、そこもしっかりとみんな体を張って守り切れたところもチームとして大きな収穫だったと思います」
──前半終了間際に逆転を許しましたが、後半すぐに逆転して流れを引き戻しました。あの場面も今日の大きなポイントになったかと思いますが、いかがでしょうか。
「かなり競った中での試合で、前半も1点差でした。前半の気持ちからブレることなく、全員が後半を迎えられたので、すごくいい折り返しができたのがよかったと思います」
──最後にトライを奪われた部分は、ヘッドコーチが常々言っていた80分間のパフォーマンスという点で少し課題になったかなと思いますがいかがでしょうか。
「緩みが出た部分はあると思います。これからトップ2はD2/D3入替戦に臨むことになりますが、これ以上にコンタクトが激しい試合になると思います。一つの緩みによってあと1点届かないようなことがあると、チームとしても悔いが残ってしまいます。だからこそ80分間しっかり戦う部分というのは高めていけるところですし、チームとして成長していけるところだと思いました」