3月30日に閉幕した第97回選抜高校野球大会は横浜(神奈川)の19年ぶり4回目の優勝で幕を閉じた。新基準の低反発の金属バットが本格的に導入されて2季目となったが、大会総得点は285点で前回大会を85点上回った。安打数は88本も増えて…

3月30日に閉幕した第97回選抜高校野球大会は横浜(神奈川)の19年ぶり4回目の優勝で幕を閉じた。新基準の低反発の金属バットが本格的に導入されて2季目となったが、大会総得点は285点で前回大会を85点上回った。安打数は88本も増えており、低反発バットへの対応力が上がっていることがうかがえた。
大会総得点は、32校以上出場が定着した1983年以降で5番目に高い数字となった。本塁打は6本(うちランニング本塁打2本)で、前回大会から倍増した。本塁打は83年以降で3番目に少なかったが、安打数は低反発バット導入前と同水準に戻った。
1試合平均の三振数は10・52で前回の12・42から減少。2000年以降で最も少なかった。低反発バットに対応するため、各打者が長打ではなく低く速い打球を狙い、コンパクトなスイングを意識していたことが影響したとみられる。
1試合平均の犠打数は前回大会の3・87から4・29に増えた。低反発バット導入前は3前後を記録しており、確実に走者を進めて手堅く1点をもぎ取る攻撃が浸透していることがうかがえた。
一方、球速150キロ以上をマークした速球派が大会を盛り上げた。健大高崎(群馬)の石垣元気投手(3年)は、センバツの大会最速を2キロ上回る155キロをマーク。春先は寒さが残るため球速は出づらい傾向にあるが、夏の甲子園の最速記録に並ぶ剛腕ぶりを発揮した。
いずれも2年生で、横浜の織田翔希投手と、山梨学院の菰田陽生投手も152キロを記録した。特に菰田投手は、自己最速を6キロも上回る成長ぶりを見せた。
春夏通じて甲子園初出場を果たした浦和実(埼玉)の変則左腕・石戸颯汰投手の投球術も光った。
直球は120キロ台だが、球の出どころが見づらく球のキレと制球力で勝負し、準々決勝までの3試合で18回連続無失点の快投を披露した。近年は140キロ台を投げる投手が珍しくない中で、軟投派でも甲子園で勝負できる可能性を示した。
今大会は順延が無く、20年から2日間設けられている休養日は初めて予定通りに消化された。【下河辺果歩、長宗拓弥】