NTTジャパンラグビー リーグワン2024-25ディビジョン2 第9節2025年3月22日(土)12:00 ウェーブスタジアム刈谷 (愛知県)豊田自動織機シャトルズ愛知 75-28 清水建設江東ブル…

NTTジャパンラグビー リーグワン2024-25
ディビジョン2 第9節
2025年3月22日(土)12:00 ウェーブスタジアム刈谷 (愛知県)
豊田自動織機シャトルズ愛知 75-28 清水建設江東ブルーシャークス

大勝にも浮かれない。フォーカスしたのは「中だるみ」


リザーブから出場した豊田自動織機シャトルズ愛知のジェームズ・モレンツェ選手(左)と末拓実選手

ディビジョン2の首位を走る豊田自動織機シャトルズ愛知(以下、S愛知)と、花園近鉄ライナーズとの連戦で自信を付けてビジターゲームに乗り込んできた清水建設江東ブルーシャークスの一戦は、S愛知が今季最多の11トライを奪う猛攻を見せ、75対28で快勝。結果と内容の両面で、充実の勝利を挙げた。

S愛知のスコアを詳しく見てみると、11トライのうち10トライを後半11分までに挙げており、その時間帯までいかに試合を支配していたかが分かる。敵陣の22mラインまでボールを運ぶと、ほぼ確実にトライまでつなげていた印象で、課題だったフィニッシュの精度に成長を見せた。

ただ、徳野洋一ヘッドコーチが「中だるみ」と表現した後半11分以降の時間帯には課題を残した。それを特に悔やむのは、ジェームズ・モレンツェと末拓実の二人。ともに途中出場したハーフ団だ。

「チームがこのようなスコアで勝てたことはとてもうれしいですが、個人のパフォーマンスとしてはうれしくないですね」と話したモレンツェは、この試合で出色の活躍を見せたフレディー・バーンズのあとを任され、約30分間出場。これまではセンターやフルバックを務めることもあったが、この試合に向けてはスタンドオフとして準備を進めてきた。

「風下で相手に押し込まれる展開だったので、ボールを奪い返す工夫が必要だったかなと思います。良い学びになったので、次は改善した姿を見せたいです」と次戦の飛躍を誓った。

モレンツェと同じタイミングで出場した末も「リザーブメンバーはチームにインパクトを与えないといけないと思うので、今後は今日のような苦しい時間帯でもエナジーをもって臨めたら」と先を見据える。

今季初出場となった末は、テンポを上げる球さばきやスピードあるランに特長があるスクラムハーフ。今節は我慢が続いたが、耐え抜いたあとにひとたびマイボールになれば攻撃のスイッチを入れ、自身も“仕上げ”の11トライ目を挙げた。

快勝を収めてもなお、己を見つめ直し、さらなる進化を遂げるために努力する。S愛知は、このサイクルを止めることはない。さまざまな収穫と課題を練習場に持ち帰り、D1昇格の日まで研鑽を続ける。

(齋藤弦)

豊田自動織機シャトルズ愛知


豊田自動織機シャトルズ愛知の徳野洋一ヘッドコーチ(左)、ジェームズ・ガスケル共同キャプテン

豊田自動織機シャトルズ愛知
徳野洋一ヘッドコーチ

「今日は暖かい素晴らしい天候の中、素晴らしい環境を作っていただいた中でプレーできたこと、ファンの方々と運営に携わっている方々にチームを代表して御礼申し上げます。ありがとうございます。試合の内容につきましても、前半のスタートから選手が非常に高いスタンダードを示してくれたというところ、選手のこの1週間の努力に感謝したいと思っています。最後、少し中だるみと言いますか、ゲームが緩んでしまったところの課題はもちろんありますが、今日一日、この1週間で見ても素晴らしい1週間だったと思っています。ありがとうございました」

──敵陣の22mラインに入れば、ほぼ確実にスコアにつなげていました。その点についてはいかがでしょうか。

「われわれの課題の一つの中に、22mライン内に入ってからどう得点に変えるのかというところは、前半戦が終わってから取り組んでいた部分でもありました。そこで確実にスコアできたところは、自分たちの準備が報われたということで、本当に評価できるパフォーマンスだったと思います」

──相手のタックルに対して倒れず、パスをつないでいるシーンが印象的でした。その点についてはいかがでしょうか。

「フィジカリティーな部分で負けていてはラグビーでは勝てないので、そのフィジカリティーなバトルで選手がしっかりと戦ったということ、あとは2人目、3人目のサポートのスピードが相手よりも上回ったと思っています。ボールを持ってない選手の見えない努力も、今日は素晴らしかったと思います」

──中だるみとおっしゃっていた部分は、どういった要因で起きたのでしょうか。

「清水建設江東ブルーシャークス(以下、江東BS)さんは、この点差で敗れるほどのチームではないと思いますし、良いシェイプを使いながらアタックしてくるチームでもあります。80分とおしてゲームを支配するのは難しいですが、流れをもっていかれた中で、相手の強みを引き出してしまったのが大きな原因かなと思っています」

豊田自動織機シャトルズ愛知
ジェームズ・ガスケル共同キャプテン

「徳野さん(徳野洋一ヘッドコーチ)からもあったように、試合の60分まではすごく良いパフォーマンスができたと思います。個人的にも良いプレーができましたが、途中からは江東BSさんの強さが出たと思うので、そこの部分でもう少しできたことはあるのかなと思います。とは言え、勝ち点5を獲得できたことはすごくうれしいです」

──選手にとってはキツいコンディションだったと思いますが、いかがでしたか。

「試合終盤に江東BSの選手と目を合わせながら、『しんどいね』と話していました(笑)」

──今季最多の11トライを挙げました。その点についてはいかがでしょうか。

「今週はアタックでのスピードであったり、遂行力だったりにすごくフォーカスしてきたので、そこを見せられたのは良かったと思います」

──一方で、今季ワーストの4トライを相手に奪われました。どういった要因が考えられますか。

「プレビューですごく良いアタックをしてくるチームだと分かっていたので、自陣の22mに入られたときに、自分たちがそのアタックを許してしまったのがトライにつながったと思います。トータルのパフォーマンスとしてはハッピーですが、もう少し改善できるところはあるのかなと思います」

清水建設江東ブルーシャークス


清水建設江東ブルーシャークスの仁木啓裕監督兼チームディレクター(左)、白子雄太郎キャプテン

清水建設江東ブルーシャークス
仁木啓裕監督兼チームディレクター

「開催にあたり多くの関係者の方、ご尽力いただきましてありがとうございました。完敗の一言かなと思います。この負けを選手自身がどう受け止めるのかと合わせて、一番大事なのはわれわれスタッフがどう受け止めて今後導いていくかということだと思っています。われわれとしては花園近鉄ライナーズとの連戦で良いゲームをして、自信をもっていましたが、このようなゲームになってしまいました。いろいろな原因があると思っていますが、選手は一生懸命頑張ってくれていますので、スタッフがこの負けをしっかり分析して、次戦に備えていきたいなと思います」

──試合当日に二人メンバー変更がありましたが、影響はありましたか。

「キャプテンの白子(雄太郎)が言っているとおり、先手必勝を掲げて今季はずっとやってきましたが、そこで受けてしまいました。メンバー変更に関しては、あとからメンバーに入ってきたにしても、そこに関しては良いパフォーマンスを練習中から常にしてくれていたので、心配はしなかったです。メンバーが変わったからどうこうではなく、気持ちの部分に尽きると思います」

──相手をタックルで倒し切るところまで至らなかった印象ですが、いかがでしょうか。

「ラグビーに関しては、やはりファーストタックルがすべてだと思っています。われわれとしても、ディフェンスとして前に出ようという話は常々していましたが、その部分についても受けてしまったと思います。そのあとパスをつながれたところは、豊田自動織機シャトルズ愛知さんのうまさがあると思いますけど、やはり1対1で勝てないとつながっていかないと思っていますので、受けてしまったのがすべてだと思います」

清水建設江東ブルーシャークス
白子雄太郎キャプテン

「私たちはチャレンジャーなので、先に相手に殴り掛かろうという話をしていて、そういったウォームアップや練習をしてきたつもりでしたが、相手のフィジカルに対して最初に受けてしまったことがすべてだと思います。自分たちが先手必勝するべきでしたが、そこの気合いが足りなかったです。その一言に尽きると思います」

──前半に苦しんでいた中でも、声を出して盛り立てていたと思いますがいかがでしょうか。

「無言で相手にプレッシャーを与えられるような横綱相撲は取れないので、チャレンジャーらしく、自分たちの良いプレーがあったときには、自分たちを鼓舞して盛り上げて勢いを作っていくことは必要だと思います。そういったことを意識してやっていこうと話していましたし、それを実践したということです」

──後半は風上に立ったこともあって、敵陣で多くプレーできました。その点についてはいかがでしょうか。

「22m以内に入ったときの精度という面では、今回は(精度が高く)点数が取れたと思っています。ただ、中盤での戦い方やディフェンスのペナルティ、エリア取りのところで自陣に攻め込まれたときには、我慢できずに失点することが多かったので、次の課題はそういったところかなと思っています」