NTTジャパンラグビー リーグワン2024-25ディビジョン2 第9節2025年3月22日(土)12:00 東大阪市花園ラグビー場 (大阪府)花園近鉄ライナーズ 50-8 日本製鉄釜石シーウェイブス…
NTTジャパンラグビー リーグワン2024-25
ディビジョン2 第9節
2025年3月22日(土)12:00 東大阪市花園ラグビー場 (大阪府)
花園近鉄ライナーズ 50-8 日本製鉄釜石シーウェイブス
頼れるキャプテンが導いたホストゲーム初勝利。チームにも自身にも特別なハットトリック
ハットトリックの活躍でチームを牽引した花園近鉄ライナーズのパトリック・タファ キャプテン(6番)
花園近鉄ライナーズ(以下、花園L)が今季4度目のホストゲームで日本製鉄釜石シーウェイブス(以下、釜石SW)に50対8で大勝。スローガンでもある『All Attack』を象徴するような戦いぶりで、3位に浮上した。
「ホームでなかなか勝つことができなくて苦しかったですが、ようやく勝利をもぎ取ることができました」。キャプテンのパトリック・タファが代弁した言葉は、チーム全員の思いでもある。
クウェイド・クーパーとのコンビでウィル・ゲニアがトライを奪ったり、快速ウイング、木村朋也が今季7トライ目を決めたりと、攻撃陣のタレントが躍動した80分間。そんな快勝の流れを作り出したのは、ウィル・ゲニアが試合後に「彼はとても素晴らしい。いい手本となってチームを引っ張ってくれる選手」と評したタファだった。
前半2分のトライを皮切りに、この日はキャリア初の3トライを達成し、ハットトリックを達成。「このトライはチームで取ったトライだと思っています」と謙虚な男らしく、釜石SWを敵陣深くまで押し込み続けた仲間の功績を讃えたものの、「ハットトリックは私自身もうれしかったです。やはりフォワードで1試合に3トライを取れることは稀なことです」(タファ)。
常に先手を取りながらも、釜石SWの粘りに手こずり前半を折り返した時点のスコアは12対8。後半の戦いぶりが課題だった花園Lだったが、後半3分にもラインアウトモールからパトリック・タファが飛び込んで、試合の流れを完全に引き寄せた。
祝福に駆け寄ったチームメートの笑顔とは対照的に、引き締まった表情を保ったままのタファだったが「キャプテンとして、やはりチームに勢いをもたらしたいと思ってプレーしていました」と後半の入りに意識していた心境を明かした。後半だけで花園Lは6トライの猛攻ぶりを見せ、釜石SWに力の差を見せつけた。
「ここがターゲットのポジションではないので、一つひとつまたレビューし直して次のゲームに向かっていきたい」と向井昭吾ヘッドコーチは次なる戦いに目を向けていた。頼れるキャプテンはこの先も攻守両面で花園Lをけん引していく。
(下薗昌記)
花園近鉄ライナーズ
花園近鉄ライナーズの向井昭吾ヘッドコーチ(左)、パトリック・タファ キャプテン
花園近鉄ライナーズ
向井昭吾ヘッドコーチ
「今日はありがとうございました。なかなかホームで勝利ができていなかったので、必ず勝つという強い気持ちで戦ったゲームでした。前半は本当にスローペースで、なかなか点が入りませんでしたけれども、ハーフタイムにテンポを上げていこうというメッセージを出して、非常にギアが上がって、トライが取れたかなと思っています。まだここがターゲットのポジションではないので、一つひとつまたレビューし直して次のゲームに向かっていきたいと思います。ありがとうございました」
──ここまでホームで勝てなかった要因と今日勝ち切れた要因についての考えをそれぞれ教えてください。
「今日、プラン的にはエリアマネジメントをしっかりして敵陣で戦うということでしたが、前半はそれにコミットし過ぎて、自分たちのチャンスのところでも、しかけていなかったところがありました。後半は自分たちの強みである外側の良いランナーへうまくボールを回せたことが勝てた要因です。
今まで勝てていないというところについては、そこまでボールが回っていないというケースが非常に多くて、その前でミスをしてしまったり、自分たちでペナルティをしたりして、競った試合で負けることがあったと思います。ペナルティも少なく、要所で攻めることができました。相手に点を返された部分もあったと思いますけれども、そこもちゃんとディフェンスをして、断ち切れたところが、今日のゲームになったということです」
──今日のようなラグビーをすれば花園近鉄ライナーズ(以下、花園L)は強いと感じさせましたが、今日のような試合を継続するための課題や今後について教えてください。
「ラグビーの普通なことを普通にすること。それはどういうことかというと、ボールを落とさないとか、ペナルティをしないとか、そういう規律の部分と確実にトライを奪うとかスペースに運ぶところですね。いいランナーがいるので、お互いの信頼関係の中で、どこに立つのか、そこへいかに速くサポートするか、というようなスタンダードが高くなれば、間違いなく勝てるチャンスがどんどん増えていくと思います」
──菅原貴人選手が第6節から出場後、チームは3勝1敗と調子が上がっています。非常に効いていると思いますが、評価を聞かせてください。
「私がここ(花園L)に来させてもらってから、彼はリザーブから(試合に)入ることが多かったですけれども、ポテンシャルは非常に高く、キャリーにしてもディフェンスにしても、そこに必ずいるっていう選手です。ユーティリティーなバックローであり、なおかつロックもできる選手なので、彼は非常にウチにとってはプラスになりますし、伸びてきている選手じゃないかなと思います」
花園近鉄ライナーズ
パトリック・タファ キャプテン
「チームでもぎ取ったいい勝利だったと思います。今週のゲームプランは、ミスを少なくシステムの中でしっかりとやり切るということでしたが、本当にみんなの努力が実ったと思っています。ホームでなかなか勝つことができなくて苦しかったですが、ようやく勝利をもぎ取ることができました。これを自信に変えて、次に向けてやっていきたいと思います。(向井昭吾)ヘッドコーチが言ったとおり、前半はスローぺースで、後半には勢いが出てわれわれの持ち味であるアタックをお見せすることができたと思います」
──ここまでホームで勝てなかった要因と今日勝ち切れた要因についての考えをそれぞれ教えてください。
「今日はミスも少なく、ペナルティも少なく、それがやはりわれわれのやりたいラグビーを続けられたことの要因になったと思います。チャンスもしっかりとつかめていました。われわれの強みはダイレクトなキャリーですので、そこも多く出せたと思いますし、すべてトライにつながっていたと思います。あとは、ディフェンスでの規律を守ることができました。先週もディフェンスで勝利に導くことができましたが、そこがどんどん強くなってわれわれも自信を持ち始めている部分です。ディフェンスを自信に変えて次につなげていきたいと思います」
──今日はパトリック・タファ選手にとってリーグワンで初めてのハットトリックだと思うのですが、その感想と、意識していたことを教えてください。
「ハットトリックは私自身もうれしかったです。やはりフォワードで1試合に3トライを取れることは稀なことですし、このトライはチームで取ったトライだと思っています。特にフォワードが強くて、モールからのトライも2本取れています。みんなの頑張りのおかげで自分がトライを取れたと思っています。3つ目のトライですけども、キャプテンとして、やはりチームに勢いをもたらしたいと思ってプレーしていました。ハーフタイムが終わって後半に入って、最初の20分でしっかり勢いを出していこうという話をしていたので、そういう意味でも、後半に入ってから最初の20分は激しく自分でもプレーできたかなと思っています。さらにそのあとベンチから出てきた選手もしっかりとインパクトを出すプレーをしてくれて、本当にみんなの頑張りでもぎ取ったトライだと思っています」
日本製鉄釜石シーウェイブス
日本製鉄釜石シーウェイブスの須田康夫ヘッドコーチ(左)、村上陽平キャプテン
日本製鉄釜石シーウェイブス
須田康夫ヘッドコーチ
「素晴らしいスタジアムでゲームできたことを、日本製鉄釜石シーウェイブス(以下、釜石SW)としては非常にうれしく思っております。また運営に携わっていただいた皆さまに感謝を申し上げます。釜石SWとしては、序盤は自分たちのエラーもあり、乗り切れない部分がありました。後半のところで花園Lさんに良いモメンタムを作られてしまって、また自分たちのエラーも発生してしまって自分たちの流れにもっていけず、自分たちのゲームができないまま敗れてしまった印象です。その中にも、ミドルエリアでのゲームの組み立てという部分は少し劣勢だったというところがあるので、そういったところはしっかりとNECグリーンロケッツ東葛戦に向けて修正していきたいと思います。ボールを持ってアタックできれば、良いトライが取れるというのは証明できたので、そこをポジティブに捉えて次に生かしていきたいと思います。ありがとうございます」
──後半に失点を多く喫したシーンがありましたが、何かディフェンスのシステムを変えたところはあるのでしょうか?
「いえ、特になかったですが、ウチの人数が1枚足りないことや、後半はしっかりとボールを動かされて、それで裏を取られるというような状況が続いてしまっていました。流れを引き戻すためにはもっと早く立って、もう1枚人数をそろえないといけなかったです。システム的なところが理由ではないと思います」
日本製鉄釜石シーウェイブス
村上陽平キャプテン
「前半の最初と、後半の最初でスコアされています。釜石SWにとって前後半ともに立ち上がりから自分たちのペースでラグビーをしないといけないところでスコアされてしまったことで、試合の展開も劣勢にならざるを得なかったと思います。立ち上がりのところで常に味方には声を掛けながらやってはいますが、相手のペースを作られてしまいました。前半は比較的、敵陣で戦えて粘れてはいました。後半にああいう展開になったら花園Lは強いということは自分たちも理解していたんですけど、プレッシャーを掛けてブレイクダウンでいいターンオーバーが生まれそうなところで、ボールを蹴ってしまうことがありました。それで結局また相手のアタックからスタートして、モメンタムを作られてしまいました。そういうディテールのところを最後に詰め切れなかったところが、点差が開いた試合展開になってしまった要因だと思います。そこはもう切り替えるしかないと思うので、チームとしてもう一回前を向いて、次の週からまた良い準備をしてやっていきたいと思います」
──後半の戦い方はかねてからの課題だったと思いますが、今日は暑さの問題もあって落ちた部分はあるのでしょうか?
「そうですね。暑さを言い訳にするほど暑いというわけではなかったので、ああいう展開にしないことがチームとして一番大事だったと思います。天候うんぬんというよりは、自分たちのやるべきところにフォーカスし切れなかったというか、詰め切れなかったことがこういうスコアになったのかなと思います」
──ホストゲームで対戦した際には敗れたものの、内容的には勝利してもおかしくありませんでした。あの当時と比べて花園Lの強みの違いについてはいかがでしょうか?
「相手が作りにきているラックというか、そこまでゲインしようとしないアタックのところでちょっとゲインされるなど、そこで後手に回ってしまったという印象です」
──前半と後半を通じて花園Lのアタックを肌で感じてどういう印象があったのでしょうか?
「やっぱり少しでもゲインされてしまうと、どんどんワイドに振られて、パスも長くて速いので、それでゲインラインを切られてしまって、ディフェンスの枚数が少なくなるというところがほとんどだったので、そこを釜石SWとしては止め切れなかった。うまいことやられたなという感じがします」