NTTジャパンラグビー リーグワン2024-25ディビジョン1 第12節(交流戦)2025年3月22日(土)14:30 スピアーズえどりくフィールド(江戸川区陸上競技場) (東京都)クボタスピアーズ…
NTTジャパンラグビー リーグワン2024-25
ディビジョン1 第12節(交流戦)
2025年3月22日(土)14:30 スピアーズえどりくフィールド(江戸川区陸上競技場) (東京都)
クボタスピアーズ船橋・東京ベイ 41-24 横浜キヤノンイーグルス
受け継がれるレガシーは、チームの結束と向上心とともに
クボタスピアーズ船橋・東京ベイのメンバーはこの日、チームの伝統やルーツを表現した「復刻ジャージー」を着用した
絵葉書のように美しい青空に優しく包まれた“えどりく”(スピアーズえどりくフィールド[江戸川区立陸上競技場])に、T・レックスやサディスティック・ミカ・バンドなど1970年代のミュージックシーンを彩ったサウンドが降り注ぐ。それは、このラグビーチームが産声を上げた時代に街中にあふれていたメロディーである。歴史を紡いできた先人たちも、このような青空の下でリーグ優勝という未来を思い描きながら、タイムマシンにお願いしていたのだろうか──。
テーマは『原点回帰』。この日、クボタスピアーズ船橋・東京ベイ(以下、S東京ベイ)は1978年の創部当初のジャージーをモチーフにした“復刻ジャージー”を身にまとい、過去への敬意を胸に戦いに臨んだ。
いまから47年前、チームはラグビー経験者が皆無に等しい“同好会”としてスタート。あるOBは「『クボタ』という会社はラグビー部を見捨てずに、負けても負けても、何度も挑戦させてくれた」と歩みを振り返る。その中で育まれてきた他者への思いやりと感謝の気持ち。そうしたチーム文化こそがS東京ベイの原点であると、現キャプテンのファウルア・マキシは定義した。
ホストスタジアムで迎えた横浜キヤノンイーグルス戦。勝利こそが、先人たちが築き上げたレガシーを称える最良の方法である。今季は後半に爆発的な攻撃力を見せるS東京ベイであるが、今回の一戦では前半から堅いディフェンスを見せながらスコアを重ね、試合の主導権を握った。
司令塔のバーナード・フォーリーいわく、「ここ数週間はスタートがあまり良くなかったので、試合開始から積極的に、ダイレクトに攻めることを意識した。ボールポゼッションを高め、効率的に攻めることも心掛けた」という。結果、快勝を収め同会場での連勝記録を『22』に更新。復刻ジャージーに、勝利という新たな1ページを刻んだ。
「ただ、前半にペナルティが多かったり、ブレイクダウンでのペナルティがあったりしたので、そこは改善が必要です。たとえば、キックされたあとにすぐ寄るのではなく、ボールの行方を一瞬見てしまう。その一瞬の遅れが、ブレイクダウンで相手にプレッシャーを掛けられるスキを与えてしまう。次の試合に向けて、改善していかなければいけないと感じています」
そう戦いを振り返ったのは9番を背負った藤原忍。進化への階段は、まだ始まったばかりである。レガシーは、チームの結束と向上心とともに未来へと受け継がれていく。
(藤本かずまさ)
クボタスピアーズ船橋・東京ベイ
クボタスピアーズ船橋・東京ベイのフラン・ルディケ ヘッドコーチ(右)、ファウルア・マキシ キャプテン
クボタスピアーズ船橋・東京ベイ
フラン・ルディケ ヘッドコーチ
「まずは、オレンジアーミー(ファンの愛称)のみなさんに感謝します。特別な雰囲気を作っていただき、チームをサポートしていただき、本当にありがとうございます。遠方からも駆け付けてくれたことに感謝します。そして、横浜キヤノンイーグルス(以下、横浜E)さんにも賛辞を贈りたいです。今日の試合は激戦でした。スコアは内容を反映していないかもしれません。簡単にはポイントを奪えませんでした。選手たちは最後まであきらめず、キャプテンをはじめ、フィールドに出た選手たちが活躍してくれて、勝ち点5を獲得できたことにとても満足しています」
──今季好調の理由として守備の安定が挙げられると思います。その要因を教えてください。
「ディフェンスはチームへのケアを示すものです。どれだけケアできるかを示すか、自分たちが遂行したいミッションをどこまでやり遂げられるか、ということをやっています。(アシスタントコーチの)スコット・マクラウド コーチが小さなことを積み重ねて、ディフェンスシステムに大きな変化をもたらしてくれました。クボタスピアーズ船橋・東京ベイには(入団)1年目ですが、大きなインパクトを残してくれています。ディフェンスはプライドをもつ必要があります。すぐに立ち上がり、相手にヒットし、相手を止める。ボーナスポイントを守り抜く。キヤノンイーグルスに何度もチャンスがありましたが、ディフェンスで守り切り、勝利できたことは大きいです」
クボタスピアーズ船橋・東京ベイ
ファウルア・マキシ キャプテン
「キヤノンイーグルスさんとの対戦では、毎年激しい試合になります。今日は勝ち切れて良かったです。ヘッドコーチが言ったように、たくさんのオレンジアーミーの応援があり、力になりました。今日は全員で勝ち切れたのがすごくうれしいです。そして、このジャージーには特別な思い入れがあります。感謝の気持ちを込めて試合に臨みました」
──今節のテーマである『原点回帰』についてプレーの中で意識したことはどのようなことでしょうか。
「特にスペシャルなプレーはありません。自分たちがやってきたことを出すだけです。今週もすごく良い準備ができました。その準備してきたものを出すだけです。もちろんこのジャージーの意味も分かっていますが、まずは自分たちのプロセスを信じて今日の試合に臨みました。私にとってのクボタスピアーズの原点は、チームカルチャーです。昔から続く、チームのカルチャー。感謝の気持ちをもって試合に臨んで、全員で勝ちにいきました」
横浜キヤノンイーグルス
横浜キヤノンイーグルスの沢木敬介監督(左)、古川聖人ゲームキャプテン
横浜キヤノンイーグルス
沢木敬介監督
「今季、同じパターンで自分たちから崩れていくところがなかなか改善されないので、そこをしっかり改善しないと、次のステージには行けなくなる可能性がすごく大きくなります。まずはしっかりと課題を明確にし、次のトヨタヴェルブリッツ戦に向けて良い準備をしたいと思います」
──改善すべき点について話がありましたが、特にトライ後すぐに失点してしまう点について、原因は何だと考えますか。
「メンタルの部分もありますし、全員が同じ絵を見られていない。大事な場面で、そういうつながりが感じられないです。一人ひとりが意識することは前提として、誰がしっかりリードするのか。同じ絵を見せるために、どういう形を取るかを今週しっかり準備したいと思います」
横浜キヤノンイーグルス
古川聖人ゲームキャプテン
「結果はこういう形になってしまったが、自分たちはこのゲームに勝つことにこだわって、負けから学ぶのではなく、しっかり試合で勝つという方向でやってきました。結果、こういう状況になってしまったのは事実なので、自分たちから崩れるというパターンはトレーニングから改善されてくると思います。そういったトレーニングのところで、試合に出るメンバーも出ないメンバーも含めて、チーム全体の中で一人ひとりの考えで行動していくことで改善していきたいと思います」