15日、2歳のマイル頂上決戦・第76回朝日杯フューチュリティステークス(GI、芝1600m)が京都競馬場で行われる。今年…
15日、2歳のマイル頂上決戦・第76回朝日杯フューチュリティステークス(GI、芝1600m)が京都競馬場で行われる。
今年は、サウジアラビアRCを制したアルテヴェローチェや、京王杯2歳S覇者パンジャタワー、新潟2歳Sを制したトータルクラリティや、小倉2歳S覇者のエイシンワンドといった重賞ウイナーが参戦。加えて、サウジアラビアRC2着のタイセイカレント、同5着のアルレッキーノ、デイリー杯2歳S2着ドラゴンブーストや、ミュージアムマイルといった面々が頂点を争う。
そんな中、アルテヴェローチェが、今回の「危険な人気馬」の標的となる。
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■イレギュラーの京都開催で適性懸念
無傷の2連勝でサウジアラビアRCを制したアルテヴェローチェ。その前走は、7頭立てながら、同レース史上最速の前半800m45秒7というハイペースで、後半800mは47秒3と持続力が問われる流れ。その中で、中団から着実に脚を伸ばし、1分33秒0と好時計をマークして競り勝ったレースぶりは評価に値する。
今回はおそらく1番人気に支持されることが濃厚で、過去10年の1番人気は【5.2.2.1】と複勝率9割。サウジアラビアRC組も【3.2.1.4】と好相性で、1分33秒4以内の時計で勝った3頭は全て朝日杯FSを制しており、死角はないようにも思える。
しかし、今年は阪神ではなく京都の外回り1600m。そして今週からDコースが使用される。京都競馬場の改修後、Dコースで施行されたのは、今年の2月最終週と、6月の終盤2週、計3週間しかなく、その間マイル戦は5鞍のみ行われた。サンプルとしては少ないが、どのレースもスローからミドルペースで、末脚勝負の瞬発力が問われる展開だった。
馬場の違いもあり、一概には言えないが、今年の朝日杯FSは、いわゆる京都の“軽い馬場”への適応力が問われる一戦となりそう。東京でスローの瞬発力勝負を得意とするタイプは、京都との親和性は高いが、アルテヴェローチェのように持続力勝負の馬にとっては、阪神のほうが向いている印象があり、京都開催で果たして実力を発揮できるだろうか。
■世代限定GIはパンチ不足のモーリス産駒
モーリス産駒という点も、京都開催においてマイナス材料となる。産駒デビュー以来、京都内回りの芝1600mは【5.4.5.27】勝率12.2%、複勝率34.1%、外回りの芝1800mは【4.6.3.27】勝率10.3%、複勝率33.3%の成績であるが、外回りの芝1600mは【0.1.5.20】、未だ勝ち星を挙げておらず連対率も3.8%にとどまる。さらに産駒の2歳GIは【0.0.1.10】と、2021年ホープフルS3着ラーグルフが最高着順で、2歳マイルGIでは一度も馬券に絡んでいない点も懸念材料だ。現3歳世代からは、2歳GII・GIIIでの好走が見受けられるようになったが、3歳GIで見ても【0.0.1.16】。世代限定GIにおいては【0.0.2.26】複勝率7.1%であり、パンチ不足の印象にある。
また、サウジアラビアRCで、差のないレースをしていた3着馬マイネルチケットは、その後京王杯2歳Sで2着に敗戦。4着のシンフォーエバーも1勝クラスで取りこぼすなど、2戦して勝てておらず、メンバーに恵まれていた可能性も高い。
これらのことを踏まえると、決して抜けた存在というわけでもなく、綻びを感じさせる。阪神JFを制したアルマヴェローチェと同馬主で、2週連続で2歳GIを……という勢いや、好調武豊が鞍上で過剰な人気を集めるようであれば、妙味は薄いと判断し、今回は思い切って「消し」でいってみたい。
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◆著者プロフィール
石川豊●いしかわゆたか 20代から競馬メディアに寄稿。「ユタカ人気」と言われた時代、武豊が騎乗する過剰人気馬をバッサリと切り捨てる馬券術を駆使し、年間回収率100%超に成功。以来、「1番人気の勝率は3割」を念頭に、残り7割の可能性を模索し、「危険な人気馬」理論を唱え続ける。