【長岡一也=コラム「競馬白書」】◆斤量の差は大きなポイント 世界が注目していると言っても過言ではない。フルゲートにならなくとも、今年のジャパンカップは豪華な顔ぶれだ。GI馬7頭が海外からの強豪を迎え撃つという表現がぴったりくる。それもこれ…

【長岡一也=コラム「競馬白書」】

◆斤量の差は大きなポイント

 世界が注目していると言っても過言ではない。フルゲートにならなくとも、今年のジャパンカップは豪華な顔ぶれだ。GI馬7頭が海外からの強豪を迎え撃つという表現がぴったりくる。それもこれも、イクイノックスがリバティアイランド、スターズオンアース、ドウデュースを激戦の末下した昨年のレースで、「ロンジンワールドベストレースホース」に選ばれたからで、この世界の頂点となったビッグレースを制圧すべく、これだけの馬が集結したのだから、期待するところ大だ。

 そのイクイノックスは、海外も含めGI・6連勝の無敵ぶり。パンサラッサの大逃げで前半1000米は57秒6のハイペースを3番手につけて追い、直線に入ると激しく追い出す他馬の最後に追い出され、メンバー最速の上がり3ハロン33秒5で前を一気にのみ込んでいた。勝ちタイム2分21秒8は、このペースを考えると異次元の末脚で4馬身の差をつけたのだから、立派と言っていい。

 馬場が良ければ、走破タイムにも注目してみたい。これまでのジャパンカップのレコードといえば、ホーリックス、オグリキャップのデットヒートで生まれた1989年の2分22秒2が衝撃的だった。そこから16年後の2005年に、2分22秒1が1着アルカセット、2着ハーツクライで記録された。そして、その13年後の2018年に三冠牝馬アーモンドアイによって更新され、2分20秒6が現在のレコードとなっている。このときのアーモンドアイは3歳牝馬で、斤量が53キロ、2着の4歳牡馬キセキの57キロより4キロのアドバンテージがあった。この年齢差によるアドバンテージは、その後、時折目につくようになっている実は、注目しなければならない。昨年2着の三冠牝馬リバティアイランドも3歳馬で54キロだった。

 3歳馬が古馬よりも有利、それも牡馬より牝馬の方がずっと有利という斤量面での差を無視しては考えられないのが、このレースの大きなポイントになっている。

 今年は、秋の天皇賞で3ハロンを32秒5の鬼脚で勝ったドウデュースが中心視されている。ダービーでイクイノックスを封じた末脚は、東京の2400米で一番の武器だ。出遅れたドバイターフ、道悪に泣かされた宝塚記念と大きな敗戦はあったが、4年連続のGI勝ちの実績、成長力のあるハーツクライ産駒と強調材料はある。

 この相手には、ヨーロッパ勢の中からディープインパクトの忘れ形見、オーギュストロダンといきたいことろだが、外国勢はずっと東京の馬場に泣かされてきた。英国ダービーなどG1・6勝は立派で、少しでもタイムがかかることがあればという条件つきで考えておきたい。そしてやはり斤量面のアドバンテージから3歳牝馬チェルヴィニアを。この二冠牝馬と、3歳牡馬でダービー3着馬シンエンペラーの手堅さを上位に考えておく。

「決戦を 世界に見せる 大一番」