埼玉スタジアム2002で3−4と敗れた札幌戦は今シーズンの浦和レッズの二面性を映しているかのようでもあった。立ち上がり…
埼玉スタジアム2002で3−4と敗れた札幌戦は今シーズンの浦和レッズの二面性を映しているかのようでもあった。立ち上がりは決して悪くはなかったし、マンツーマンの札幌に対して、4ー2ー1ー3から可変的にボールを動かしながらチャンスを作り続けた。
石原広教からのクロスに合わせた関根貴大のヘディングシュート、武田英寿のスルーパスに反応した松尾佑介の左からのシュート、そして松尾のラストパスを受けた渡邊凌磨の左足シュートなど。勝負の世界にタラレバは禁物とはいえ1つ決まっていれば、おそらく全く違った試合展開になっていたことも確かだろう。
浦和の攻撃になんとか耐えながら、徐々にリズムを掴んだ札幌は中盤の大崎玲央と馬場晴也を起点に反転攻勢に出ると、大崎のCKに岡村大八がヘッドで合わせるゴールで、前半37分にリードを奪う。そこから効果的な攻撃を繰り広げる札幌が、前半アディショナルタイムに鈴木武蔵がオフサイドラインのギリギリから抜け出す今シーズン初得点で、0−2とリードを広げた。ちょうどハーフタイムを迎えたところで、埼玉スタジアムは唐突な雷雨に襲われて、後半のキックオフが45分間後ろ倒しになった。
■フォーメーション変更の影響
想定外の”水入り”で、浦和が巻き返しを図るチャンスもあるかと思われた。ゴール裏も後半に向けてアップを開始した選手たちを盛大な声で後押ししたが、慣れていないダイヤモンド型の4ー4ー2にシステム変更したことが裏目に出る形で、自分たち側の混乱を札幌にどんどん付け込まれて、早い時間帯に失点を重ねてしまう。
左サイドバックの関根はその時の状況を「フォーメーション変えて、ダイヤモンドみたいにしたので。そこで完全にはまらなくなってしまって、後手後手みたいな。それでどうするか、みんなで共通意識を持ってやらないと、このまま何点も取られてしまう状況になった」と振り返る。そうした状況で、ピッチ内の選手でどうしていこうかコミュニケーションを取っていた矢先に、ペア=マティアス・ヘグモ監督が4枚替えに動いた。
4ー3ー3に変更し、アンカーに堀内陽太、左インサイドハーフに小泉佳穂、右ウイングに二田 理央、そして左ウイングには浦和デビューとなる本間至恩が配置された。前半戦なかなか出番なく過ごしてきた堀内と怪我から復帰して間もない小泉、そして夏に加入した21歳の二田と23歳の本間。0−4という絶望的な状況で、へグモ監督としてもなりふり構わないこう対策だったかもしれない。しかしながら、この交代が終盤の大反撃とともに、浦和の希望になりうるポジティブな要素をもたらすこととなった。
(取材・文/河治良幸)