例年注目浴びる投手の球数、今夏甲子園の投手起用は?

 第99回全国高等学校野球選手権大会は、残すところ準決勝2試合と決勝の合計3試合となった。今夏は9回から生まれるドラマが多く、最後まで目が離せない試合が続いている。22日の準決勝は第1試合に天理(奈良)と広陵(広島)が対戦、第2試合には花咲徳栄(埼玉)と東海大菅生(西東京)が対戦。23日に開催される決勝戦への切符を争う。

 甲子園といえば、毎回話題に上がるのが投手の起用法だろう。特に近年は、選手の健康や将来を見据え、投球過多にならないよう球数制限を設けるべきだという声も多い。そんな中、今春の選抜大会で東海大市原望洋(千葉)の金久保が218球を投げたことは衝撃でもあった。

 準々決勝終了時点で、今大会の1試合における最多投球数は172球。1回戦の津田学園(三重)戦で藤枝明誠(静岡)の久保田が完投した時の球数だ。2位が1回戦に彦根東(滋賀)の増居が投げた160球、3位は1回戦に木更津総合(千葉)の山下、3回戦に二松学舎大付(東東京)の市川が投げた150球だった。プロでは1イニングあたり15球が目標とされ、9回を完投すると135球を投げることになる。これを1つの目安としてみると、今大会で1試合に136球以上を投げた投手は11人。100球以上を投げたのは50人を超える。

 ここまで45試合が行われ、延べ90人が先発を務めたが、完投した投手は22人。甲子園というと、先発=完投のイメージが抱かれることもあるが、今夏の完投率はここまで24パーセントで、意外と継投率が高い。もちろん、試合展開による部分も多い。45試合のうち、どちらか1チームが2桁得点以上した試合は12試合あり、両軍合わせた総得点が2桁に達した試合は25試合あった。1試合あたりの平均総得点は10.5点だ。豪腕投手が少なく、強打の選手が多いのは今大会の特色でもあるが、そのため継投を余儀なくされたチームもあるだろう。

 トーナメント方式の弊害でもあるが、勝ち上がれば勝ち上がるほど、連戦を強いられる。強豪校は選手層が厚く、エースの後ろに2番手、3番手が控える例も多い。だが、選手層が薄く、エース1人に頼らなければならないチームもあるだろう。

ベスト4進出校では花咲徳栄の網脇が4戦全てで先発

 ベスト4に進出した4校の投手起用を見てみると、試合数に差はあるが、先発を一度も変えなかったのは花咲徳栄で、4試合全てで網脇が先発マウンドに上がっている。4戦の合計は397球。3回戦と準々決勝は連投で、それぞれ105球、120球だった。

 広陵は3回戦までの3試合は平元が先発。準々決勝は山本が先発したが、平元も2番手として32球を投げた。平元は4試合で合計323球を投げている。山本も4戦全てで投げており、合計球数は243球だ。

 東海大菅生はエース松本と戸田が交互に先発。松本は2回戦の高岡商(富山)戦で133球、戸田は3回戦の青森山田(青森)戦で132球を投げて、それぞれ完投している。準々決勝は松本が先発して89球を、2番手でマウンドに上がった戸田は21球を投げた。

 天理は初戦となった2回戦の大垣日大(岐阜)戦は坂根が146球で完投。3回戦の神戸国際大付(兵庫)は延長11回を碓井涼が148球で投げきった。碓井は2日後の準々決勝の明豊(大分)戦にも先発したが111球で降板し、輪島、坂根と継投した。

 ちなみに、惜しくもベスト8で敗れた4校では、仙台育英の長谷川が4試合全てで登板し(先発は3試合)、合計432球を投げているのが最多だ。盛岡大付(岩手)は平松と三浦瑞を1試合おきに交互に先発させていた。

 負けたら終わりのトーナメント方式の場合、試合に勝つために全てを出し切りたい思いと、選手の将来を見据えたい思いとが混在し、監督は起用法で頭を悩ませることも多いだろう。そんな中、継投策を採るチームが増えてきたことは、少しずつ現場の意識が変わりつつある現れなのかもしれない。(Full-Count編集部)