<巨人3-2中日>◇25日◇東京ドームキラキラの輝きを取り戻した。巨人坂本勇人内野手(35)が一振りで決めた。2点を追う6回に好投を続けていた中日柳から逆転の3号3ランを放った。現役レジェンドの10戦ぶりの1発で通算2340安打で歴代単独1…

<巨人3-2中日>◇25日◇東京ドーム

キラキラの輝きを取り戻した。巨人坂本勇人内野手(35)が一振りで決めた。2点を追う6回に好投を続けていた中日柳から逆転の3号3ランを放った。現役レジェンドの10戦ぶりの1発で通算2340安打で歴代単独14位に躍り出た。7回に登板したドラフト1位の西舘勇陽投手(22)は1回無失点で、開幕戦でのデビューから10試合連続ホールドのプロ野球史上初の快挙を達成。チームは連続2得点以下も9試合でストップし、首位阪神と1ゲーム差の2位に浮上した。

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握り締めたバットを放り投げ、一塁側ベンチに右手を掲げた。2点を追う6回2死一、二塁。初球を見逃した直後、内角に入った141キロの直球を振り抜いた。坂本が1スイングで球場の空気を一変させた。

「集中力だったり、準備の段階から一振りで仕留めるのが大事。特にああいう場面はもっと大事なのかと思います」

5回まで無安打と不穏な空気が漂う前半戦。先発菅野が6回まで2点を失った。前日まで球団史上3度目となる9試合連続の2得点以下、8試合連続の本塁打なし。負の数字が並ぶ中、全てを覆す値千金の逆転3ラン。この一打で通算2340安打として、山本浩二を抜き、歴代単独14位に躍り出た。13位の「打撃の神様」川上哲治まで11本。プロの技術が凝縮された1発で、レジェンドたちに迫る勢いが加速した。

菅野と並んで立ったお立ち台。「僕の祈りが通じました」と感謝されると、笑顔で歓声に応えた。今季は23打席連続無安打も経験。「チームに貢献できてなかった」「ピッチャーが頑張っても点が入らなかった」「バッター陣で勝てる試合を増やしたい」。謙虚な言葉を何度も繰り返し、チームの勝利を喜んだ。

阿部監督は「一振りで決めてくれました。すごく大きい。状態は悪い中で、ここっていうところで力を発揮してくれる」と賛辞を贈った。試合前にはプロ野球チップスの不具合が発覚。坂本らスター選手のスターカードが、本来のキラキラ模様を施さずに流出してしまったという。そんな一報も「輝けるように頑張ります」と笑い飛ばして、バックヤードに消えた。【前田祐輔】