新加入の選手たちがキャンプで張り切るのは当たり前だ。しかし、横内監督はポジティブな意味で驚いたのは、既存の選手たちから…

 新加入の選手たちがキャンプで張り切るのは当たり前だ。しかし、横内監督はポジティブな意味で驚いたのは、既存の選手たちから伝わってくるやる気だったという。

「去年は前のシーズンと同じメンバーでやってたじゃないですか。その中でやってはくれてましたけど、今シーズンを見ると、やっぱりギラギラ感というか。そう言うものが目に見えて今年はあるかなと思っている。それは新しい選手がこれだけ入ってきて、既存の選手がギラギラしている。まあ、新しく入ってきた選手は間違いなくギラギラしてますけど、既存の選手が間違いなくギラギラを出してくれている。これは本当に去年と違うかなって」

 そう横内監督は語る。確かに今年3年目で、本当に勝負の年になる古川陽介、大津祐樹から77番を引き継いだ藤原健介といった選手たちも、もう若手という立場に甘えず、一本立ちしていくべき段階に来ている。そして当然ながら各ポジションで競争がある。昨シーズンも競争はあったが、ある程度、実力や特長が見えているライバルと知らない部分の多い選手では緊張感というものも違ってくる。

■激しいポジション争い

 新加入のブラジル人選手にしても、大型FWのマテウス・ペイショットが1トップ、俊足のMFブルーノ・ジョゼが右サイド、21歳のFWウェベルトンは1トップがメインとも予想されたが、横内監督は左サイドのワイドストライカーとして、古川とはまた違った持ち味を生かそうとしている。

 そして磐田のレジェンドであるドゥンガがアイドルでもあるというMFレオ・ゴメスは守備的な中盤の選手でありながら、練習試合ではセンターバックもこなせることを示している。

 試合や時間帯によっては在籍3年目となるセンターバックのリカルド・グラッサも含めて、ブラジル人の5選手が同じピッチに立つケースも十分に考えられる。左の古川はもちろん、右サイドの松本昌也、昨年の後半戦はエース的な存在だったジャーメイン良、ボランチの鹿沼直生や上原力也もレオ・ゴメスを含めた競争に打ち勝たないと、スタメンで出ることはできない。

 日本人でも昨年の熊本でJ2ベスト11に選ばれた平川怜やルヴァン杯優勝の福岡から来た中村駿が入ってきたのだから、既存の選手たちにとっても競争は厳しいものになる。

■システムは同じ4-2-3-1も…

 攻撃的なところではMF石田雅俊が1トップ、2列目のあらゆるポジションで勝負を挑む。石田の研ぎ澄まされたフィニッシュの意識はキャンプでも示されている。5年過ごした韓国ではフィジカル面も強くなったというが、相手ディフェンスの見えないところからゴール前に現れて、ラストパスに合わせる形にもこだわりを持っている。

 そう言った個性的な新加入選手と既存の選手が刺激し合いながら、どういうチームを作っていくのか。昨年と同じ4ー2ー3ー1でも、組み合わせによって活かし方、生かされ方が違ってくるという意味でも楽しみだ。横内監督も「やっぱり、やればやるほど新しい発見がある」と表情を緩ませるが、攻守の強度をできるだけ高めて、そこに選手の個性や組み合わせの効果を上乗せしていく。

”勝ち点40以上”をどこまで積み上げて行けるのか。それがある程度、結果として出てくる頃にはチームも選手も成長を見せているはずだ。

(取材・文/河治良幸)

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