■意地の6回無失点…優勝の可能性を残し、最優秀防御率にも前進 明大は21日、東京六大学野球秋季リーグの法大1回戦に5-2…

■意地の6回無失点…優勝の可能性を残し、最優秀防御率にも前進

 明大は21日、東京六大学野球秋季リーグの法大1回戦に5-2で勝利し、4季連続優勝の可能性を残した。先発の蒔田稔投手(4年)が6回3安打無失点に抑え、今季防御率をリーグトップの0.74として「最優秀防御率」のタイトルにも一歩近づいた。

 ヒヤリとさせられたシーンだった。2回1死走者なしで、法大・西村友哉外野手(3年)が放ったライナーが、グラブをかすめて蒔田の頭部を直撃。投手強襲安打となった。蒔田は「当たった瞬間のことはよく覚えていないですが、ポンと当たった程度。むしろいい刺激でした」とあっけらかんと振り返ったが、ベンチを飛び出した田中武宏監督は「場所が頭ですから、すぐに病院へ行かそうと思いましたし、トレーナーからも『できれば早く代えてほしい』とリクエストがありました。しかし、本人が『代わらない』と言い張るものですから……」と明かした。

 続く高原侑希内野手(4年)を3球三振に仕留めると、5回までは2安打1死球で、本塁どころか二塁も踏ませない快投を続けた。

 責任感が蒔田の背中を押していた。慶大戦で勝ち点を落とした明大は、あと1敗すれば4季連続優勝の可能性が消滅する。そんな崖っぷちの状況で、蒔田は今季初めて1回戦の先発を任された。「1回戦の先発は、エースが投げるところ。自分はそこの競争に1度負けたわけですが、その後もずっと土曜(1回戦)に投げたいという思いでやってきました」と述懐する。

三番手でマウンドに登った大川を讃える蒔田【写真:中戸川知世】

 明大は昨年の春から3季連続優勝中だが、田中監督はその最初のシーズンを前に、当時3年生の蒔田、村田賢一投手、石原勇輝投手の同級生3人を呼び、「この3人で勝つぞ」と宣言した。当初エース格として1回戦の先発を任されたのは蒔田だった。しかし、昨秋に2勝2敗、防御率4.61と振るわず、3勝0敗、防御率1.50をマークした村田と立場が逆転。今年の春も、村田が3勝0敗、防御率0.80と無類の安定感を示し、蒔田は2勝0敗、防御率2.79をマークしながら後塵を拝した。

 ところが、明大のエースの座をめぐる競争はこの秋、意外な展開となった。1回戦の先発を任されていた村田が、夏に肩の違和感を訴えた影響で調子が上がらず、今月14日の慶大1回戦で初回にまさかの5失点、16日の同3回戦の初回にも4失点し連続KOを喫したのだ。

 田中監督は「本当は順番を崩したくなかった」と迷った末、練習でも好調さをアピールしていた蒔田に1回戦先発を託すことを決断。蒔田は「村田が喜んでいる間にもしっかり練習してきたことが、チャンスをもらえて、結果を出すことができた要因だと思います」とうなずいた。

 蒔田が続投を強く訴えた背景には、1回戦先発の責任感と同時に、タイトル獲得への意欲もあった。「5回まではすらすら行けたのですが、6回は(タイトルが)ちらついてピンチを招いてしまいました」と告白する。二塁打と1四球1死球で2死満塁とされた上、内海貴斗内野手(4年)にセンター後方まで飛ばされたが、中堅手の榊原七斗外野手(1年)は強い日差しに打球を見失いそうになりながらも、倒れ込みながら捕球。蒔田は試合後の会見で、「落としていたら、末代まで恨むところでした」とジョークを飛ばし笑わせた。

 この回限りで降板した蒔田は、今季投球回数が24回1/3となり、規定投球回数をクリアして防御率リーグトップにランクイン。22日の法大2回戦に登板しなかったとしても、その座が揺らぐことはないが、仮に同3回戦にもつれ込んだ場合は、規定投球回数(チーム試合数×2)が26となるため、タイトルを獲得するためにも、もう1度登板して抑える必要が出てくる。「人事を尽くして天命を待ちます」と笑った。

 最優秀防御率は、ライバルの村田も獲得したことがなく、手中にすれば明大では2016年春の柳裕也投手(現中日)以来15季ぶりとなる。蒔田、村田、石原はいずれもプロ志望届を提出済み。明大のチーム力を上げ、3季連続優勝の原動力となった3人の切磋琢磨は、来年以降も続きそうだ。