京田のプレーに岡田監督が猛抗議。阪神がすぐさま意見書を出し、今回のスピード採用に至った(C)KentaHARADA/Co…

京田のプレーに岡田監督が猛抗議。阪神がすぐさま意見書を出し、今回のスピード採用に至った(C)KentaHARADA/CoCoKARAnext

 阪神岡田彰布監督が球界を動かした。日本野球機構(NPB)と12球団は9月4日、都内で実行委員会を開き、新たな判定基準として「ブロッキングベース」を採用することを決めた。阪神球団から8月のプレーについての意見書を受けてのもので、たとえ不可抗力であっても、守備側が走者に対してベースを完全に塞いだ場合には、タイミングを見てアウトかセーフかを判断するように変更した。

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 阪神球団が意見書を提出した問題のシーンは、8月18日のDeNA戦(横浜)。1-2と1点を追う9回1死一塁で、代走の熊谷敬宥が二盗を試みた。捕手からの送球が一塁側にそれ、二塁ベースカバーに入った遊撃の京田陽太は二塁ベースを塞ぐ格好となり、走者と激突。当初はセーフと判定されたが、三浦大輔監督がチャレンジした結果、アウトと覆った。

 審判団はベースを塞いでしまった京田の動きは送球がそれたための不可抗力で、故意ではなかったと判断。走塁妨害にはあたらないとジャッジした。これに岡田監督が猛抗議。退場宣告を受ける基準とされる5分を超える抗議をし、さらに試合翌日には球団が野球規則運用についての意見書を提出していた。

 これまで走者の進路を塞いだ際のペナルティーは、本塁上の「コリジョン・ルール」と、走者の併殺崩しの危険なスライディングを禁止した「セカンド・コリジョン」の2つに限られていた。「ブロッキングベース」は一、二、三塁上に用いられ、牽制球の帰塁にも同様に適用される。リプレー検証などの結果、守備側がベースを塞ぎ、タイミングがセーフだった場合には、走者はセーフとなり進塁や帰塁が認められることになる。

 何よりも異例なのは、阪神の意見書提出からこれだけ早期に、シーズン中に運用が見直されたことだ。「ブロッキングベース」は実行委の翌5日から全試合で適用される。同日には全球場で、全12球団に審判団から新たな運用についてレクチャーされるという。故意的な接触プレーは認められるものではなく、本来避けるべきであるため、大きな混乱はみられないと思われるが、異例のスピード採用となった。

 声高に訴えていた岡田監督にしてみれば、してやったりだろう。球界内では早くも「岡田ルール」と呼ぶ声もある。指摘が的確だったことに加え、選手の故障防止にもつながる。また、近年はリクエストの導入によって、多くの球場であらゆるプレーが精彩な映像で繰り返しリプレー再生されている。DeNA戦での激突は誰の目にも危険なプレーに映り、野放しにしていればファンから批判の声が高まるのは確実だった。そうした環境も、迅速な決定につながったに違いない。

 補足が必要な点が見つかったならば、すぐに補ってあげればいい。過去の球界では異例のスピード採用を何よりもアシストしたのは、岡田監督の猛抗議ではなく、最新テクノロジーと、プロ野球を支える熱心なファンたちの声だったかもしれない。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]

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