「素晴らしいアスリートで屈強な体があり、コートの両エンドで競い合っている」  NBAのダラス・マーベリックス一筋21シーズンを…

「素晴らしいアスリートで屈強な体があり、コートの両エンドで競い合っている」


 NBAのダラス・マーベリックス一筋21シーズンを戦い抜き、ドイツ代表としても長いあいだ活躍を続けてきたダーク・ノビツキーは、2018-19シーズン終了後に現役を引退した。

 すると中国で開催された「FIBAバスケットボールワールドカップ2019」でコービー・ブライアント(元ロサンゼルス・レイカーズ)、ヤオ・ミン(元ヒューストン・ロケッツ)とともにグローバル・アンバサダーを務めた。

 2019年9月中旬。グローバル・アンバサダーとしての役割を終えたノビツキーは、2019年から2023年における『FIBA』のプレーヤーズ・コミッションのチェアマンへ就任。このプレーヤーズ・コミッションは、世界で活躍した選手としての経験を生かし、選手の地位向上を図る委員会と位置付けられている。

 8月21日にブランドアンバサダーを務める『BAUERFEIND(バウアーファインド)』社のイベントへ登場したノビツキーは、理事会メンバーにも名を連ねており、この日のイベント終了後に「FIBAバスケットボールワールドカップ2023」の開催地の1つ、フィリピンのマニラへと向かっていった。

 ノビツキーは現役引退後も多忙なスケジュールをこなしているのだが、『バウアーファインド』社のイベントで、日本人NBA選手として活躍している八村塁(レイカーズ)について、このように話していた。

「ワールドカップには出場しないと聞いています。それは本当に残念ですね。リーダーとして、それに日本としてもとても残念だと思います。私は彼のファンです。一生懸命プレーしていますし、とてもいい対戦相手だと思います。なので今回試合を見ることができないので残念です。彼は私のお気に入りの選手です」

 ゴンザガ大学で3シーズンをプレー後に八村はNBA入りしたのだが、ドラフトされたのは2019年。ノビツキーと入れ替わりでNBA入りしているため、両選手はコート上で直接マッチアップしたわけではない。

 八村はNBA入りから4シーズン連続で平均2ケタ得点をクリア。昨シーズンはトレードでワシントン・ウィザーズからレイカーズへ移籍し、「NBAプレーオフ2023」でも16試合で平均24.3分12.2得点3.6リバウンドにフィールドゴール成功率55.7パーセント、3ポイントシュート成功率48.7パーセント(平均1.2本成功)、フリースロー成功率88.2パーセントを残し、チームのカンファレンス・ファイナル進出に大きく貢献。

 今夏に制限付きフリーエージェント(FA)となってレイカーズと再契約を結んだ25歳の日本人フォワードは、NBAキャリア5年目を迎えることとなる。

 そんな八村の将来性について、ノビツキーはこう話していた。

「私は彼の運動能力を気に入っています。素晴らしいアスリートで、屈強な体があり、競争しています。彼はコートの両エンド(オフェンスとディフェンス)で競い合っています。とても良いディフェンダーですし、自身のショットを練習で磨き、今ではアウトサイドから3ポイントシュートも決められるようになりました。ダイナミックなアスリートだからこそ、とても期待をしています。

 彼はものすごくハードにプレーする選手で、それを示してきたと思っています。あのチーム(レイカーズ)で、彼はベンチから大きなインパクトを与えて、ゲームチェンジャー(変革者)になれると思っています。見ていて楽しい選手であり、年々成長していく姿を見てきたのでうれしいです」

 残念ながら、ワールドカップという国際舞台で八村を見ることはできないものの、今夏も精力的にワークアウトをこなしている。レイカーズ在籍2年目を迎える日本人フォワードが、10月下旬に幕を開ける2023-24シーズンに万全の状態で臨んでくれると期待したいところだ。

文=秋山裕之