巨人が延長10回に梶谷の移籍後初サヨナラ打で劇的勝利■巨人 3ー2 西武(15日・東京ドーム) 巨人は15日、本拠地・東…
巨人が延長10回に梶谷の移籍後初サヨナラ打で劇的勝利
■巨人 3ー2 西武(15日・東京ドーム)
巨人は15日、本拠地・東京ドームで行われた西武戦で、延長10回に梶谷隆幸外野手がサヨナラ適時二塁打を放ち5連勝。2012年、2014年に次ぐ3度目のセ・パ交流戦優勝へ向けて、単独首位に立った。梶谷は2020年オフにDeNAからFA移籍後、故障が相次ぎ、育成契約に切り替えられる苦汁もなめた。原辰徳監督からの信頼を支えに、移籍後初のサヨナラ打でうっぷんを晴らした。
2-2で迎えた延長10回1死一、二塁。梶谷が西武5番手の平井克典投手に対し、カウント1-0から外角のフォークに食らいつくと、打球は左中間を深々と抜けていった。ヒーローは「外野手も前(前進守備)でしたし、キターッという感じでした」と振り返った。ナインから祝福の水をかけられ、「リハビリが長かったですが、より一層というより、サヨナラはどんな時でもうれしいです。(水は)シャワーくらいでしか浴びていないので」と笑った。サヨナラ打はベイスターズ時代に4度放っているが、巨人では初めての歓喜だった。
初回の守備では、1死走者なしで西武の岸潤一郎外野手が放った右前のヒット性の当たりをスライディングキャッチ。試合の最初と最後にスタンドを沸かせたわけだ。
原監督は試合後、感慨深げに「このところスターティングメンバーが多い中で、2人でなんというか“契り”という部分で、『俺も我慢するから、カジ(梶谷)も頑張れ』というところからスタートした」と明かした。梶谷も「結構最近のことです。試合前の打撃練習前に、ベンチで監督からボソッと言われました。これは期待に応えるしかないという気持ちになりました。来たな、と思いましたね」とうなずく。
手術&育成契約との苦汁をなめた男への気遣い
実際、原監督は梶谷に対して何度か気遣いを見せてきた。開幕1軍を果たした後、4月17日にいったん2軍に降格したが、指揮官はこの時、当初代打要員としてベンチ入りさせた梶谷に、スタメンフル出場できる体力をつけ直させるための措置であることを丁寧に説明していた。5月5日に再昇格後、しばらくは代打出場が多かったが、今月8日から5試合連続でスタメン2番に定着。13日の西武戦で3打数2安打、5回に大城卓三捕手のスクイズで三塁から生還する働きを見せると、6回の守備からベンチに下げられ、原監督から「今日はかなり動かしましたからね。今日に関してはグッドジョブというところです」とねぎらわれた。翌14日は代打からの途中出場。2日ぶりにスタメンに名を連ねたのがこの日だった。
梶谷は巨人移籍後、初年度の2021年に腰椎椎間板ヘルニアの手術を受けた。昨年は左膝痛を訴え、5月に左膝内側半月板縫合手術。オフに育成選手となり、今年3月に支配下登録されるまで不安な日々を送った。そうでなくても過去、巨人にFA移籍した選手が桁違いの注目度や重圧に苦しみ、実力を発揮できずに終わった例は枚挙にいとまがない。その中で、梶谷にとって原監督が示す信頼は何よりも心強かっただろう。ここに来て走攻守にわたる活躍を見せ、指揮官の“我慢”に応えた。
お立ち台では「まだまだジャイアンツファンの皆様の前で、活躍する姿を見せられていない。なんとか挽回して、ファンに認めてもらえるように頑張りたいです」と表情を引き締めた梶谷。「結果を出すしか方法はない。梶谷に回ってきたらいいなと思われる選手になれるように、数字を出すしかないと思います」と決意を新たにした。本領発揮はこれからだ。(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)