ヤクルトに3連勝…ハマスタでの連勝は9に伸びた■DeNA 7ー6 ヤクルト(27日・横浜) セ・リーグ首位のDeNAは2…
ヤクルトに3連勝…ハマスタでの連勝は9に伸びた
■DeNA 7ー6 ヤクルト(27日・横浜)
セ・リーグ首位のDeNAは27日、本拠地・横浜スタジアムで行われたヤクルト戦の延長10回に、関根大気外野手が右越え適時二塁打を放ち7-6でサヨナラ勝ち。0-4の劣勢から挽回し、勝ち切った。首位攻防3連戦でリーグ2連覇中のヤクルトをスイープし、チームは4連勝。本拠地“ハマスタ”では、5日・巨人戦から9連勝となった。まだ20試合を消化したところで、長いシーズンの7分の1にも満たないが、それでも周囲の視線は横浜ベイスターズ時代の1998年以来25年ぶりとなるリーグ優勝、その一点に向いている。
奇跡がもう1つの奇跡を呼んだ。4時間11分の激闘を、劇的に制したDeNA。ただ、試合終了が遅くなったため、試合後にグラウンド上で予定されていた人気レゲエグループ・湘南乃風の特別ライブは中止となった。球団は周辺環境に配慮し午後9時40分をリミットとしていたが、実際の試合終了は9時56分だった。
ここで三浦大輔監督が粋な計らいを見せる。湘南乃風のメンバー4人を、サヨナラ勝ちに沸く選手ロッカールームへ招き入れたのだ。「僕が拉致しました。選手たちも盛り上がっていたので、ロッカーに顔を出してもらい、湘南乃風の皆さんにも一体になってもらいました」と三浦監督。試合終了直後のロッカーに球団関係者以外が招かれるのは、極めて異例で、大田泰示外野手は「みんなで一緒に写真を撮ってもらったりしましたが、ああいう場面に出くわしたのは初めてです」と笑った。
横浜スタジアムでは今季、最初の今月4日・巨人戦に敗れただけで、その後無傷の9連勝。声出し応援が禁止されていた昨年も、6月28日から8月21日まで17連勝(1引き分けを挟む)を飾り2位躍進につなげている。ホームでは圧倒的に強い。三浦監督は「昨年にも増して、ファンが声出し応援で雰囲気をつくり、ボルテージを上げてくれています。ベンチも一体になっています」と感謝する。
球団史上最後の優勝年となっている1998年も、そうだった。ベイスターズが7月15日の巨人戦で0-7の大量のビハインドを跳ね返し、13-12でサヨナラ勝ちを収めると、当時の権藤博監督は試合後「もののけにつかれたような試合だった」と名言を吐いた。当時現役の主力投手だった三浦監督は「そういうコメントもありましたね」と懐かしみ、「今年はまだ4月ですから、これから1試合1試合戦っていくだけですが、ファンの方が盛り上げてくれて、いい雰囲気の中で試合ができていることは同じです」とうなずいた。
早出練習常連の大田泰示「ベイスターズの伝統になっていけばいい」
一方で、指揮官は「今の選手は、常時試合に出ている選手も、なかなか打席に立てない選手も、みんなが常に準備をしてくれている。だからこそ、試合の途中から起用しても仕事をしてくれる。“カバー力(カバーリョク)”と言うのか、本当に(殊勲者は)全員なんですよ」とも指摘する。
実際、この日も伊藤光捕手が、6回に4点差逆転の口火となる左中間二塁打を放つなど4打数2安打。守っても好リードで、勝利の立役者となった。伊藤は戸柱恭孝捕手、山本祐大捕手との3人併用の中で、決して多くないチャンスを生かしている。一方、チーム20試合中4試合目のスタメンとなった大田も、6回に左前適時打、延長10回には一塁へのヘッドスライディングで遊撃内野安打をもぎ取り、サヨナラ勝ちにつなげた。
伊藤は34歳、大田も32歳のベテランだが、2人とも早出練習の常連。2人に引っ張られるように、早出に取り組む選手は増えている。大田は「こうして結果が出ると、日々の努力、取り組みに対する疑いがなくなります。調子が出ない時にも、準備を怠らず継続していくことが大事だと思います。それがベイスターズの伝統になっていけばいい」と言う。
2023年のDeNAには、もののけはついていないかもしれないが、“その気”になりつつあるファンと選手がいる。(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)