もしかしたら、トップよりも味わい深いかもしれない。それが、2部や3部といったサッカーの下部リーグである。蹴球放浪家・後…
もしかしたら、トップよりも味わい深いかもしれない。それが、2部や3部といったサッカーの下部リーグである。蹴球放浪家・後藤健生も、もちろんその味を堪能している。カルチョの国が、その味わい深さを教えてくれた。
■「満腹」の観戦日程
3月前半、イタリアでの観戦日程はこんなでした(9日はスイスのバーゼル)。
1日 イタリア対ドイツ(フィレンツェ)
3日 アレッツォ対エラス・ヴェローナ
4日 サンプドリア対ユベントス
5日 ローマ対インテル
7日 ユベントス対ブレーメン
8日 ミラン対バイエルン
9日 バーゼル対ストラスブール
11日 インテル対サンプドリア
12日 ユベントス対ミラン
14日 インテル対アヤックス
ミッドウィークにチャンピオンズリーグやヨーロッパリーグのラウンド16の試合もあったので効率的に試合を見ることができました。これだけ見れば、さすがに満腹になります。
■ビューティフルな風景
さて、アレッツォに行った時、僕はそこが『ライフ・イズ・ビューティフル』の舞台だということをまったく意識していませんでした。しかし、街の中心地であるピアッツァ・グランデ(大広場)はどこかで見覚えのある光景でした。トスカーナ地方の街は丘陵地帯の傾斜地に造られているので、広場も平坦ではありません。その斜面になった広場で、映画の冒頭、家族が幸せそうに自転車に乗っていた場面を思い出しました。
さて、アレッツォでのもう一つの思い出は、駅のそばのオステリアで昼食を摂った時のことです。「オステリア」は「リストランテ」よりも大衆的な店です。
向かいのテーブルで、中年のおじさん2人がスパゲッティを食べていたのですが、その食事風景がなんともエレガントなのです。
フォークを垂直に持って、パスタをくるくると巻いていきます。急がず、ゆっくりと……。そして、パスタが絡まったフォークを、まるで卓球でペンホルダー式グリップからシェークハンド式に変えるようにフォークを持ち替えて、フォークを水平にして口に運ぶのです。その一連の動きが、ただの中年おやじたちだというのに、えらく優雅なのです。
で、僕のテーブルにもスパゲッティがやって来たので、早速、真似してみました。それ以来、パスタを食すときには、僕もペンホルダー式とシェークハンド式を使い分けながら食べるようにしています。
■これぞ2部リーグ
さて、肝腎の試合はどうだったか、って?
ホームのアレッツォがPK2本を含めて、65分までに3対0とリード。その後、ヴェローナが81分、82分に連続得点で追い上げたのですが、結局3対2でアレッツォが逃げ切りました。
点の取り合いで面白そうですが、試合内容は互いにロングボールを蹴り込む肉弾戦。「ああ、これがヨーロッパの2部リーグなんだなぁ」という印象だけが残りました。
フィレンツェに帰る最終列車の時間が迫っていたので試合終了まで見ることはできなかったのですが、そんな試合内容だったので何の心置きもなく席を立つことができました。