オリックスとロッテでプレーした川越英隆氏息子の少年野球時代に失敗 オリックスとロッテでプレーし、引退後はロッテで投手コー…

オリックスとロッテでプレーした川越英隆氏…息子の少年野球時代に“失敗”

 オリックスとロッテでプレーし、引退後はロッテで投手コーチを11年間務めた川越英隆さんは、野球をしている息子の父親でもある。息子は一時、野球を続けるか悩んだ時期もあったが、親子の距離感を見直したこともあり、高校生になった今も野球を続けている。

 野球をする息子を持つ父親と共通の悩みを川越さんも抱いていた。さらに元プロだからこその難しさもあった。川越さんは一般的な家族と同じように、息子が小さい頃にキャッチボールをしていた。野球の楽しさを知った息子は小学4年生でチームに入った。

 経験も理解力も不足している小学生が、大人と同じようにプレーできるはずはない。川越さんも頭では理解していた。しかし、もどかしさを抑えきれない時があったという。「上手くなる方法を伝えようとすると感情的になってしまうケースが多かったですね」。指導に熱が入ってしまい、口調は厳しくなりがちだった。ただ、感情的に教えても息子は上手くなるわけではない。むしろ、逆効果だと気付いた。

「チームの監督やコーチ、自分以外の人から教えてもらった方が良いと感じました。父親に対しての甘えなのか、私が元プロ野球選手だったからなのか、あまり息子に言葉が響かなかったです。息子が上手くできないと私の教え方も厳しくなってしまうので、悪循環でしたね」

距離感を見直し…静観するスタイルへの変更で子どもは野球を継続

 息子が中学生になる頃、川越さんは距離感を見直した。アドバイスを求められるまで静観するスタイルに変えたのだった。

「思い通りにプレーできなかったり、元プロ野球選手の息子と周りから見られたりして、悩んでいるようでした。息子には無理して野球を続ける必要はないと伝えて、質問や相談された時だけアドバイスするようにしました。ガミガミ言っていたら、息子は野球をやめていたかもしれませんね」

 時々、息子の練習に付き合ったが、感情的になることはなかった。そっと見守ってくれる父親との距離感が心地よかったのか、息子は高校でも野球を続けると決めた。川越さんは投手コーチをしていたロッテを昨年限りで退団し、現在は横浜市の野球スクールで小、中学生を対象にしたパーソナルコーチをしている。

 保護者の中には、上手くできない子どもを見て怒鳴る人がいるという。川越さんは「楽しいと思う気持ちがなければ上手くなりません。できないことを責めても逆効果です」と話す。親子の距離感は、子どもたちの上達に不可欠な要素となる。(間淳 / Jun Aida)