第95回センバツ大会は山梨学院が初優勝を飾り、熱戦の幕を閉じた。山梨県勢として春夏通じて初の決勝進出、そして初優勝。秋…
第95回センバツ大会は山梨学院が初優勝を飾り、熱戦の幕を閉じた。山梨県勢として春夏通じて初の決勝進出、そして初優勝。秋の関東大会覇者としてその実力は評価されていたが、一気に頂点に立つことを予想した人が果たしてどれだけいたか。今大会で初めて2勝目の壁を破った山梨学院が、成し遂げた快挙は県勢初優勝だけにとどまらない。その「ブレークスルー」の数々を見てみよう。

山梨学院を初優勝に導いた父・吉田洸二監督(写真中央)と息子であり責任教師の吉田健人氏(写真右)
【山梨県勢初の甲子園制覇】
山梨県勢は過去、準決勝で敗れること7度。初めて決勝進出に至るまでに要した準決勝敗退の回数は、史上最も多かった。これに次ぐのが鳥取と奈良の5度。鳥取は1960年春に米子東が、奈良は1986年夏に天理が、いずれも6度目の挑戦で初の決勝進出を果たした。これで、春夏通じて決勝進出がないのは山形、富山、島根の3県に。それぞれの準決勝敗退は山形が2回、富山1回、島根3回。全都道府県が決勝の舞台を経験するのはいつになるか。
(山梨県勢準決勝の戦績)
1967春 甲府商 ●1−11高知
1985夏 東海大甲府 ●6−7宇部商
1987春 東海大甲府 ●5−8PL学園(延長14回)
1990春 東海大甲府 ●4−5近大付(延長13回)
1991春 市川 ●1−4広陵
2004夏 東海大甲府 ●8−10駒大苫小牧
2012夏 東海大甲府 ●3−9光星学院
2023春 山梨学院 ○6−1広陵
【センバツ史上初の1大会6勝】
通常、春のセンバツ32校で争われる最大5試合のトーナメントだが、今回の記念大会のように36校が出場すると1回戦が4試合だけ組まれる。そこから決勝まで勝ち上がると6試合を戦うことになる。出場校が32校を超えた過去の大会で、1回戦登場で決勝まで戦った例はなく、今回の山梨学院が初のケースとなった。
引き分け再試合を含めて6試合を戦ったケースは過去に2例。5勝を挙げて決勝に進んだ山梨学院は6試合目の決勝も報徳学園を倒して、センバツでは前例のない6勝を挙げての優勝を達成した。
(センバツで1大会6試合を戦ったチーム)
▼1938春 東邦商
1回戦 △0−0京阪商(5回日没コールド)
1回戦 ○11−5京阪商(再試合)
2回戦 ○13−5平安中
準々決勝 ○5−3浪華商
準決勝 ○6−2岐阜商
決勝 ●0−1中京商
▼1991春 広陵
1回戦 △3−3三田学園(9回降雨引き分け)
1回戦 ○8−2三田学園
2回戦 ○4−2春日部共栄
準々決勝 ○5−2鹿児島実
準決勝 ○4−1市川
決勝 ○6−5松商学園
【異なる2校を率いて優勝】
山梨学院の吉田洸二監督は、2009年春の第81回大会で清峰(長崎)を率いて優勝。春夏の甲子園大会を通じて、異なる2校で優勝監督になったのは今回で4人目。異なる県の2校となると史上2人目の快挙になる。
(異なる2校で優勝した監督)
原 貢
1965年夏/三池工(福岡)
1970年夏/東海大相模(神奈川)
木内幸雄
1984年夏/取手二(茨城)
2001年春、2003年夏/常総学院(茨城)
上甲正典
1988春/宇和島東(愛媛)
2004春/済美(愛媛)
吉田洸二
2009春/清峰(長崎)
2023春/山梨学院(山梨)
【親子で"監督・責任教師"のコンビで優勝】
今大会、山梨学院の責任教師としてベンチ入りしたのが、吉田洸二監督の長男・吉田健人部長。監督と選手が親子というケースは過去に多数あるが、監督と部長(責任教師)が親子でコンビを組んで甲子園に臨むケースは意外なほど少ない。
確認できるのは過去に4例あるだけ。そのうち3組が今大会にそろって出場しており、しかもいずれも前回大会から2年連続出場のコンビというのは実に不思議な現象だ。準決勝では山梨学院と広陵の直接対決が実現。この一戦を制した山梨学院が、もちろん初めて優勝を果たすケースになった。
(親子で「監督・責任教師」のコンビでの甲子園出場)
2016年夏、2022年春、2023年春/クラーク記念国際(北海道)
監督=佐々木啓司(父) 責任教師=佐々木達也(子)
2018年夏/浦和学院(埼玉)
監督=森士(父) 責任教師=森大(子)
2022年春、2022年夏、2023年春/山梨学院(山梨)
監督=吉田洸二(父) 責任教師=吉田健人(子)
2022年春、2023年春/広陵(広島)
監督=中井哲之(父) 責任教師=中井惇一(子)