1点リードの9回に登板のドラ4青山「ドキドキが止まらなかった」■オリックス 3ー2 西武(31日・ベルーナドーム) 西武…
1点リードの9回に登板のドラ4青山「ドキドキが止まらなかった」
■オリックス 3ー2 西武(31日・ベルーナドーム)
西武は3月31日、本拠地ベルーナドームで行われた今季開幕戦で延長10回の末、オリックスに2-3の逆転負けを喫した。就任1年目の松井稼頭央監督は、初戦を白星で飾れず。2-1とリードして迎えた9回、松井監督がクローザーとして投入したのは、通算175セーブを誇る増田達至投手ではなく、亜大出身のドラフト4位ルーキー・青山美夏人(みなと)投手だった。結果的には2死走者なしから、森友哉捕手に同点ソロを被弾。続く延長10回には、3番手で登板した新外国人ヘスス・ティノコ投手が宗佑磨内野手に決勝弾を許した。
青山はオープン戦で5試合に登板し、計5イニング無失点の好成績を残していた。松井監督は今季のクローザーについて「その時の状況、状態に応じ、なるべく連投をさせない中で、青山はもちろん、増田も投げていく」と説明した上で「今日は青山でいくと初めから決めていました」と言い切った。その理由として「彼の気持ちの強さ、球の強さ」を挙げた。
青山によると、松井監督から開幕戦で守護神として起用すると告げられたのは、数日前の練習中。「どこで投げたいんだ?」と問う指揮官に、「一番いいところで投げたいです」と答え、「じゃあ、いけ」と認められたと言う。キッパリとクローザーを希望するあたり、確かに並の新人の心臓ではない。
実際には「ドキドキが止まらなかった」と言う初登板だったが、最速150キロのストレート、カーブ、スプリットを駆使し、簡単に2死を取った。ところが、森に初球の膝元へのスプリットをすくわれ、右翼席へ同点ソロ。アマチュア時代には打たれたことのないコースだった。この瞬間、先発して8回を114球の熱投で1失点に抑えていた高橋光成投手の今季初勝利が消えた。
青山は同点ソロ被弾も「絶対に次、やってやる」
青山は続く中川圭太内野手を右飛に打ち取り、ベンチへ戻ると、「光成さんには申し訳ない気持ちでいっぱいでしたが、打たれた自分が下を向いていたら、周りの雰囲気に影響してしまう」と視線を前へ向け、声を張ってグラウンドへ声援を送り続けた。「絶対に次、やってやる、と思っています」と臆するところはない。松井監督の評価も「同点で止め、その後をしっかり抑えてくれましたから」と、不合格ではない。
西武のリリーフ陣は、昨年まで絶対的なセットアッパーだった平良海馬投手が本人の希望で先発に転向。長年クローザーを務めてきた増田も今年は35歳を迎え、シーズンを通して大車輪を働きを求めるには微妙な年齢に差し掛かっている。開幕戦で新人クローザーが初セーブを挙げれば、チームにプラスアルファの勢いがついたはずで、サプライズではあったけれど、うなずける采配だった。
青山は亜大4年だった昨年、エースとして主に先発を務めていたが、プロ1年目から華麗な転身。振り返れば、青山にとって亜大の大先輩のDeNA・山崎康晃投手も同様に、プロ1年目から守護神に抜擢され、現在に至る。その山崎から大学1年の時に監督を通じてグラブを贈られ、4年間リーグ戦で使い続けたと言う青山。プロでも山崎の背中を追い続けることになるのだろうか。(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)