2009年の日米大学野球で初来日“佑ちゃん”と対戦 メジャーリーグのサイ・ヤング賞受賞経験者としてNPB史上2人目のプレ…

2009年の日米大学野球で初来日“佑ちゃん”と対戦

 メジャーリーグのサイ・ヤング賞受賞経験者としてNPB史上2人目のプレーヤーとなったDeNAの新外国人トレバー・バウアー投手が24日、横浜市内のホテルで開かれた入団会見に出席した。新型コロナウイルス感染拡大の影響でシーズンが短縮されたレッズ時代の2020年に5勝4敗、防御率1.73(最優秀防御率)をマークしたナ・リーグのサイ・ヤング賞右腕は、ビジネスマンとしての一面など、実に多彩な“別の顔”を持っている。

 入団会見では「日本でプレーすることは、ずっと自分のやりたいことのリストに入っていた。大学時代の2009年、初めて日本に来た時のことは忘れられない」と力を込めた。当時は名門カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)に在学中で、日本で行われた日米大学野球に出場。「満員の東京ドームでプレーした。アメリカでは、大学生の試合はそこまで注目を集めないので、日本にはこれほど野球熱があるのか、プロのレベルになったらどうなるのかと思いました」と回想した。

 2009年の日米大学野球には、当時早大3年の斎藤佑樹氏(前日本ハム)、当時中大の澤村拓一投手(現ロッテ)、当時亜大の東浜巨投手(現ソフトバンク)ら豪華な顔ぶれがそろい、斎藤氏が先発した東京ドームでの第2戦には、1万2000人の観客が詰めかけた。バウアーは山形・鶴岡ドリームスタジアムでの第4戦に先発し、4回4失点で敗戦投手になっている。

 バウアーはレッズ時代の2019年12月に、DeNAの練習施設「DOCK」を訪問し、今永昇太投手らと交流した。DeNAの壁谷周介チーム統括本部副本部長は「私の個人的なネットワークで、バウアーが日本に旅行に来るのを機に、NPBの球団の施設を見学したがっていると聞き、招待しました」と明かす。この時の縁が、サイ・ヤング賞投手の獲得という“快挙”に結びついたわけだ。

 バウアーは人気ユーチューバーでもあり、チャンネル登録者数は50万6000人(24日現在)に上り、横浜DeNAベイスターズ公式チャンネルの21万6000人(同)をはるかに上回る。米国ではドキュメンタリー制作会社「MOMENTUM」の共同創設者兼最高経営責任者でもある。さらに、米アリゾナ州に自身のトレーニング施設を所有し、こちらでは才能のある学生に無料で貸し出すなどの活動を行っているという。さらに以前から、自身がデザインするアパレルブランド「Bauer Outage」を持ち、今後はベイスターズとコラボ商品などを発売しいく。

年会費220万円…超豪華、個人ファンクラブの中身とは?

 さらに、ベイスターズでは、バウアーの個人ファンクラブ「TREVOR BAUER OFFICIAL FANCLUB」を開設。年会費をVIPコース220万円、DELUXEコース33万円と設定した。楽天・田中将大投手が8年ぶりに日本球界に復帰した2021年、球団が開設した個人ファンクラブ「マー君クラブ」が10人限定で年会費180万円だったのに比べても、かなりの高額設定と言える。それでも、球団ビジネス統括本部マーケティング部ファンクラブグループの五十嵐洋太グループリーダーは「外国人選手として過去にいなかったレベルの選手であることは間違いない。金額に見合ったサービスを用意していると考えています」と説明した。

 VIPコースでは年に1試合、横浜スタジアムのVIPルームで観戦(会員を含め6人まで利用可)ができる。当日は球団指定の場所までリムジンで出迎え、バウアーの登板日と登板日前日には試合使用球に直筆サインを入れてプレゼント。それ以外の日にはバウアーのMeet&Greet(著名人と一般のファンが直接交流できるイベント)を実施、その他にハマスタでの公式戦58試合分の内野指定席SSペアチケットなど様々な特典がある。

 UCLAでは工学部で学んだ“インテリ”のバウアーだが、マウンドに上がると“闘士”へ一変する。インディアンス(現ガーディアンズ)時代には、KOされた自身へのふがいなさから、投手交代の際にボールをバックスクリーンへ向かって大遠投した逸話の持ち主だ。そもそもウォームアップで140メートル以上の遠投を行うという強肩でもある。そんな逸話に球団関係者は「KOされた時ではなく、勝利のセレモニーの時に披露してくれるといいですね」と笑う。周囲はユニークかつ多彩な“別の顔”が、いい形で披露されることを楽しみにしている。(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)