中国戦で投打同時出場「大きい舞台で初戦を任されることに対して責任感」 これが日の丸のプレッシャーなのか。いつも飄々として…

中国戦で投打同時出場「大きい舞台で初戦を任されることに対して責任感」

 これが日の丸のプレッシャーなのか。いつも飄々としている大谷翔平の言葉に、どこか緊張感が感じられた。8日の会見前、栗山監督から世界一へ向けた先陣を託された。それだけではない。国際大会でのリアル二刀流も初めてだ。

「1番最初の試合は高鳴り、緊張はあると思います。明日ももちろんあると思います。こういう大きい舞台で初戦を任されることに対して責任感を持っている。しっかりとまずは自分自身、楽しみたいなと思っているので、その準備をしていきたい」

 ずっと目標にしてきた大舞台だ。花巻東高時代に作った人生目標シート。23歳と27歳の欄には「WBC日本代表」とはっきり記してきた。だが、全てが思い通りに進むわけではない。2017年大会は右足首痛で出場を辞退。「体調管理は本当に大事だなと思い知らされました」。二刀流の表情は明らかに沈んでいた。

 2018年に右肘のトミー・ジョン手術を受け、翌2019年には左膝を手術。新型コロナウイルスの影響で開催が延期となり、29歳シーズンでようやくWBC出場のチャンスが巡ってきた。6年前とは明らかに違う。この日の会見では自信に満ちた表情で言い切った。

「フィジカルは今までで一番良いんじゃないかなと思います。体調面に関しては明日になってみないと、その日の調子は分からない。現時点では申し分ないかなと思ってます」

栗山監督と共に頂点へ「特別な思い」

 WBC1次ラウンドの球数制限は65球。初戦で投手としての貢献は限られるが、今大会から「大谷ルール」が採用。降板後も指名打者として出場できるのは侍ジャパンの大きな武器となる。

「自分のプレースタイル。投打ともチームに必要であると思われているのであれば、もちろん出たいなと思っています。明日まず投げるのは初めてなので、そこから入って、攻撃もしっかり参加したいなと思います」

 この日、栗山監督は大谷の打順についての明言はなかった。それでも、メジャー屈指の強打者を上位打線で起用しない手はない。大谷自身も二刀流の生みの親でもある指揮官への思いは熱い。

「お世話になった監督なので、こういう舞台でできるというのは、特別な思いですし、一緒に優勝できれば、これ以上ないかなと思います」

 ダルビッシュ有が胴上げ投手となった2009年WBCはまだ中学生。悲願の世界一へ、二刀流が全力で駆け抜ける。(小谷真弥 / Masaya Kotani)