目標達成まであと一歩、足りない物は何だったのか──。東京六大学野球秋季リーグで、東大は23日、神宮球場で行われた法大2…
目標達成まであと一歩、足りない物は何だったのか──。東京六大学野球秋季リーグで、東大は23日、神宮球場で行われた法大2回戦に0-5で完敗。1勝10敗1分、勝ち点0で今季を終え、1997年秋以来25年ぶりの最下位脱出はならなかった。
試合に勝つには、ミスを最小限に抑え、接戦に持ち込んで相手の焦りを誘うことが条件になる。この日の東大は自らミスを連発し、勝機を手放してしまった。
先発の西山慧投手(4年)は2回、法大の浦和博内野手(3年)に先制ソロを被弾。3回には、無死一塁から相手の送りバントを松岡泰希捕手(4年)が一塁へ悪送球し、ピンチを無死一、三塁に拡大させてしまう。次打者の併殺崩れの間に1点追加を許した。松岡泰は続く4回にも、無死一塁で相手の送りバントをファンブル。その後1死二、三塁となり、右中間前方に上がった飛球を、センターの別府洸太朗外野手(3年)とライトの阿久津怜生外野手(4年)か衝突して落球し(記録は別府の失策)、2点追加を許した。
1試合3失策が敗戦に直結し、井手峻監督は「守りが綻んだ」と肩を落とした。今季トータルでリーグワーストの15失策で、来季へ向けて喫緊の課題となる。
一方で、チームの盗塁数は明大の21に次ぐリーグ2位の18に上り、“足攻”に活路を見出した。リーグを代表するような強打者が東大に入学してくる可能性は高くない。ならば俊足の選手を多く起用し、チームぐるみで相手投手のモーションを研究して、相手の守備陣を撹乱するのは近道と言えるかもしれない。

エースの井澤駿介投手(4年)は今季、持ち前のストレートの球威に加え、カットボールが切れ味を増し、相手を慌てさせた。9試合で1勝5敗、防御率5.20。今季開幕戦の明大1回戦では、先発の井澤が7回途中まで3失点に抑え、2番手の鈴木健投手(3年)、3番手の松岡由機投手(3年)も無失点でつないで、3-3で引き分けた。慶大1回戦では、先発の井澤が6回2失点、松岡由も3回1失点でしのぎ、4-3で競り勝っている。
東京六大学では、エースが1回戦に先発し、1勝1敗にもつれ込んだ場合は、中1日で3回戦に再び先発することが多い。近年、最下位脱出を目標に掲げている東大だが、前提となる勝ち点獲得も、2017年の秋が最後である。当時はエースの宮台康平投手(現ヤクルト)が法大1回戦で2失点(自責点0)完投勝利を挙げ、打撃戦となった2回戦も6回からリリーフで連投し、連勝を飾った。このシーズンは惜しくも早大と同率最下位に終わっている。
やはり、信頼度の高いエースの存在は不可欠。今季の井澤は、勝ち点にこそ結びつかなかったものの、合格点以上の存在感を発揮した。来季へ向けて、3年生の松岡由、鈴木健らが真のエースに脱皮できるかどうかは、重要なポイントになるだろう。
井澤は「能力差がある相手に対して、試行錯誤を続けてきました。目標に対する取り組み方は、これからの人生にも生きると思います」と振り返る。主将の松岡泰は「東大が勝つというのは、並大抵ではない。僕らにはできなかったので、もっと本気で、もっと目の色を変えて考えてほしい」と最下位脱出を後輩に託した。戦力差は否めなくても、東大の挑戦に注目する野球ファンは多い。そこに東大の存在意義があると言えそうだ。
(Full-Count 宮脇広久)