NOBUTA GROUPマスターズGCレディース最終日 女子ゴルフの国内ツアー・NOBUTA GROUPマスターズGCレディースは23日、兵庫・マスターズGC(6585ヤード、パー72)で最終日が行われ、首位で出た19歳新人・川崎春花(フリ…

NOBUTA GROUPマスターズGCレディース最終日

 女子ゴルフの国内ツアー・NOBUTA GROUPマスターズGCレディースは23日、兵庫・マスターズGC(6585ヤード、パー72)で最終日が行われ、首位で出た19歳新人・川崎春花(フリー)が5バーディー、2ボギーの69で回って通算15アンダーで優勝した。6週ぶりのツアー通算2勝目を挙げ、ツアーでも高額の優勝賞金3600万円を獲得。初優勝以降はコースに向かう車内で嘔吐してしまうほど自分にプレッシャーをかけていたが、苦難を乗り切って2勝目を手にした。

 1打リードで迎えた最終18番パー4。川崎は8メートルのバーディーパットを残し、「3パットしたらどうしよう」と不安になっていた。だが、ストロークに入る前には「上りスライス。決めたところに打てばいい」と思い、クラブと腕を同調させてヒット。ボールはカップ側に止まり、安堵の笑みを浮かべた。追う河本結(RICOH)のバーディーパットも入らず、川崎は目の前の一打を打つ前にふと思った。

「私がウィニングパットを打つんや~」

 難なく決めた後は、キャップのツバに手をやってニコリ。大阪学院大高ゴルフ部の同期でキャディーを務めた森田彩聖さん(大阪学院大1年)とハグをすると、さらにニコニコになった。

「15番でバーディーを獲った時、『優勝したらハグする』と言ってくれたので、私もそれを楽しみに頑張れました」

 森田さんの目は潤んだが、川崎の目には涙なし。初優勝した時と同じ反応で、会見では「涙は出ないですね。笑っちゃいます」と素直に答え、報道陣を笑わせた。

 18ホールを通して、淡々とプレーしているように思わせていた。側にいる森田さんも「全然、緊張している感じはしなかった」と証言。だが、本人は「めっちゃ緊張していました。1番でいきなり3パットを打って、スコアを書き込む時に手が震えていました」と振り返った。

 前半を終えて、河本とのマッチレース。佐藤心結(ニトリ)も追い上げてきた。そして、15番パー5の第3打に入る前に、佐藤に並ばれたことを把握した。

「リーダーボードが見えて、14アンダーで並んでいるのを確認しました」

初優勝後から重圧、行きの車で嘔吐も…

 グリーン右ラフからピンまで34ヤード。58度ウェッジでフワリと上げたボールは、フックラインの転がりでピン手前50センチについた。「2日目にあの位置から打ってオーバーしていたので」。その失敗を生かし、勝負どころでリードを奪う大きな一打を放った。

 9月に日本女子プロ選手権コニカミノルタ杯を大会最年少で制し、メジャー覇者にもなった。同時に3年シードを獲得したが、翌週は予選落ち。「まぐれで優勝したと思われたくない」と自分を追い込んだが、2週後も予選落ちした。第2日の朝には、コースに向かう車の中で嘔吐もしたという。

「プレシャーを自分にかけてしまったのだと思います」

 その後、初優勝前はツアー出場もままならず、予選落ちしていた自分を思い出し、もう一度、「自分の立ち位置」を考えたという。「今季中にもう一度優勝」を新たな目標とし、自分の「振り切るスイング」をコーチと一緒に取り戻した。今大会は第2日から「ボールに近づいて、手元を上げるパッティング」で、多くのバーディーパットを決めることができていた。

 19歳175日で2勝は、畑岡奈紗(18歳254日)、宮里藍(18歳262日)、笹生優花(19歳71日)に続く4番目のスピード記録。先輩たち3人はその後、米女子ツアーを主戦場にしたが、川崎は「何も考えてないですけど……そうなればいいですね」と笑ってみせた。

 小祝さくらにも似たゆっくりとした口調ながら、ゴルフになると強さを見せる19歳。今季の出場17戦で獲得した賞金額は7816万8000円で2勝に限ると7200万円だが、本人は「ビックリしています」と肩をすくめた。今後の目標を問われると、「強いゴルファーであり続けることです」と言い切った。(THE ANSWER編集部・柳田 通斉 / Michinari Yanagida)